家族ゲーム Episode 0 Part 2 (ページ16)

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第64話「ホントは気付いている…」ページ16

和也が帰宅すると、珠理奈の部屋から何やら楽しげな声が聞こえてきた。
吉本「違うよぉ～、794年は平安京でしょう？なんで鎌倉幕府なんだよ～」
珠理奈「エヘヘヘ、間違えちった」

和也が部屋の中を覗いてみると、珠理奈の隣に吉本が座り社会の勉強を教えていた。
吉本「ホラ、もう一回解く！」
珠理奈「はぁ～い」
あの勉強嫌いだった珠理奈にしては珍しい位だが、やはり彼女は相当なバカだと和也は再確認した。

覗くのを止め、自分の部屋に戻っていく和也。
彼の部屋のドアが音を立てて閉めた頃、家庭教師は先程まで彼がいた所を振り返った。
吉本「いいねぇ…」

珠理奈「ん？なにが？」
突然の言葉にビックリする珠理奈。
吉本「何でも無いよ、さあ次はコレな」
珠理奈「ええ～！まだやんのぉ～？」
吉本「当たり前だよ！お前クラスで何番だと思ってんだ？」
イタい所を突かれた珠理奈は、黙ってペンを握った。

数日前
薄暗い吉本の部屋には、あまり物は置かれていなかった。
吉本『で、何だ話って』
敦子『本当の事を教えて欲しいの』
吉本『“本当の事”？』
敦子『あなたが“吉本荒野”になった理由を…』
男はため息をつくと立ち上がり、部屋に置かれた写真を手に取った。

吉本『もう…お前には関係ない事だろ』
敦子『何で？だってあなたと私は…』
敦子の話を吉本は遮った。
吉本『今は違うんだよ！もうお前の知ってる俺は、とっくに死んだんだ…』