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おりちゃんと別れてから電車を乗り継いで都内を出る｡
最近は勉強も練習も頑張っていたから眠気に襲われる｡
イヤホンをしながら電車の揺れに身を委ねていると手元のスマホが何度か小さく震えた｡
この仕事は返信の早さが大切だから急いでメッセージを確認すると
軟体狂犬ホワイトデー渡しそびれた
軟体狂犬明日､稽古場行くから来て
思ってたのと違う……｡
急いで返信する必要も無いし眠いから見なかったことにし､画面も目も閉じる｡
目的の駅に着くと改札に夏衣がいた｡
夏衣「A!遅いよ」
A「ごめんごめん」
夏衣「うわ､今年もすごいね(笑)」
両手に抱えた荷物を見ながら笑う夏衣｡
夏衣「持つよ」
A「ありがと」
慣れたようにウチから荷物を受け取って横を歩いてくれる夏衣はウチの彼氏かもしれない(笑)
途中に寄った花屋でお花を買って目的地へ｡
A「ゆずちゃん来たよ〜!!」
夏衣「ゆずちゃん久しぶり」
A「あ､ゆずちゃんママ来たばっかなんだ
お花新しい!ウチら買ってきた分どうする?」
夏衣「一緒に入れて平気じゃない?」
お花を供えて掃除をし､線香と水をあげる｡
そう､ここは小学生の時にウチが入院した病院でできた友達のお墓｡
今日は彼女の命日なのだ｡
元々1人で来るつもりだったけど夏衣が「今年は行く」って言ってくれたから2人で来た｡
A「なんでそんな夏衣固まってんの(笑)」
夏衣「だって5年も経ってるのに初めて来たなんて……」
A「いいじゃん､何年経ったって
ゆずちゃん喜んでるよ
ゆずちゃん､夏衣おっきくない?(笑)」
夏衣「Aが小さいんだよ(笑)」
なんてお墓とは思えないような明るい声が響く｡
ただ春になったとはいえまだまだ日はそんなに長くないし日が落ちれば肌寒くなる｡
夏衣「ママ迎えに来てくれてるって
帰ろっか」
A「そだね
じゃあ､ゆずちゃんまた来るね」
夏衣「早ければ来月!」
ゆずちゃんに別れを告げて近くのカフェで夏衣ママの車を待つ｡
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作者名：☆ゆゆまる☆ | 作成日時：2021年3月2日 0時
