靡くほどに美しく壱 (ページ9)

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何日かに分けていく検診もなべと同じ日だった。
現地集合だし一緒に行けばいいやラッキー、それぐらいの気持ちでなべに連絡する。

「なべー？おはよ、どう？」

「あーまぁ、ぼちぼち？」

「なにそれ。わら一緒に行こーぜ、病院」

「やだ………けど、いくわ」

後で家行く、と伝えて家を出る支度をする。
適当に着替えて家の鍵と書類、スマホがあればいいかな。なべの家に寄ってからバスで病院に向かう予定。

歩いて10分のなべんちまで行くとエントランスの壁にもたれてなんだかしんどそうな顔したなべがいた。

「あー、タクシーひろうか」

勿体ねぇよっていつもなら言うなべも、おぅ、と小さく返事した。

マスクはしてるものの体調悪いですって顔をしたなべはいつもより顔色も悪い気がするし、なんだか痩せた気がする。

食べてるか聞くと拗ねるって言ってたなー彼女さん。

そんなことを思い出して、並んで座った後部座席で前を向いたまま「ねぇ、ちゃんと食ってんの」って言うと「お前もそんな食わねーじゃん」っていつもみたいにははっと笑う。

否定しないってことは肯定なんだろうけど。

病院前で止まってくれた運転手さんにありがとうございましたーっと言いながら降りる。

歩く度にフラフラしてるなべはまだ体調悪いんだろうなぁ……言わないけど、言ってくれないけど。わら

風邪ひいた時言わなくてなべに散々怒られたのになべも言わねーからなぁ、とふらつくなべの横を歩いて受付に向かった。

ただの風邪、

そう言われることしか考えてなかった。