靡くほどに美しく壱 (ページ25)

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「え、そうなの？……そっか、良かった」

手術するんだよなぁ、痛いのは嫌なんだけど。ってふっかに言ったら赤ずきんちゃんに出てくるオオカミさんみたいなのを想像したらしい。

ザクっと切ってガバッと開いてポンっと取り出すみたいなことをするわけじゃないらしい。

1.2センチだけ切ってお腹にいくつか穴を開けてそこから棒を突っ込んで手術するって言ってた。
その方が治るのが早いらしい。キズも小さくて済むって言ってたし。

手術した翌日から歩いてもらいますとか言われた。
ご飯は直ぐに始まらないらしいけど。
絶対痛いのにさ……なんて言い訳聞いちゃくれないけど。笑

「なぁ、彼女どーすんの？心配してたよ～昼休憩行く時たまに捕まるんだよね。わら」

そう、心配してくれたのも振り払って作ってくれたのも食べてなくて最低なことしかしてない上に未だにまだ何も話してない。

受付にいる訳だからふっかに聞けばいいと思ってるんだろうけど、優秀なことに口が堅いからそんな簡単には分からないはず。

それでも、営業部の人を捕まえて聞かれたらきっとバレる。というかもうバレてるかもしれない。ずっと休んでるわけだし。連絡も返してないし。

入院してることも、なんなら2日後に手術するなんてもっと言えない。言えるわけがなかった。

スマホを見るとまた一件。

___翔太大丈夫？心配だよ、会いたい……どこにいるの？

散々なことされてるのに心配してくれる優しさが痛かった。

優しいからこそ、傷つけるのが怖かった。

最低なことはわかってる。だからせめて。

俺の事嫌いになってくれていいんだよ。

___ごめん。何も言えなくて。でも大丈夫だから。もう心配しないで。別れよう。