靡くほどに美しく壱 (ページ16)

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机と椅子、それとパソコンがあるだけの部屋に呼ばれて1日中動き回って慣れた点滴棒をガラガラさせながら向かう。

目の前には白衣を着た医者。俺より結構歳上に見えるおじさん……って言ったらあれだけど、おじさん。笑

お誕生日席のところにはずっと居てくれてる看護師さんが座ってる。バインダーに挟まれた色んな紙には所狭しとメモが取ってあってきっと仕事ができる人なんだろうなぁ、と思った。

___これがさっきの検査の時の画像です

モノクロの写真を何枚見せられてどれだけ説明されてもピンと来なかったけど、ざっくり言うと胃に何かあること、悪性である可能性が高いこと。

つまり、ガンだってこと。

手術した後に、化学療法をする必要があること。

何かわからないことはありますか？なんて言われても逆にわかることがない、理解出来ても納得できてない。

……訳が分からない。

だって、お腹痛かっただけだし。

ご飯食べたくなかったのだって暑かったからで……。

頑張りましょうねと言われた。頑張るって何を？

フラフラと部屋に戻ってベッドに座る。
だって俺まだ若いのにさ……そんなことないよな……。

こういう時彼女に電話したりするのかもしれないけど、まだ体調が悪いことも入院したことも言ってない。なんなら、心配してくれてたのにひねくれたことしか言えなかった。

迷うことなく開いたトークの相手は、ふっかだった。

__おれ、しんじゃうのかな