3話 ページ5
あいつが俺らの前から姿を消したのは、中学1年の夏だった。
夏休みに入る直前の、確かニュースで今世紀最大の猛暑だとか言っていた、茹だるような暑い夏の日だった。
あれはきっと、傲慢で強欲で、そしてAのことを見ていなかった、俺への罰だったんだろう。
あの頃の俺は、Aにひどくイラついていた。
ずっと俺だけを見ていればいいものを、よりによって無個性のデクに目を向ける。
『出久、一緒に帰ろう』
今日も諦めずにデクを誘う。
俺はデクを睨み、[ひとりでかえれ]と声には出さず口の動きだけで伝えた。
あいつもなんだかんだ言ってAに執着している。
いざとなったらどんな計算高い姑息な手を使ってでも、Aを手に入れに来そうに思えて気が気ではなかった。
どうして俺だけじゃ納得しない。
俺とAの個性があれば最強になれるのに。
俺だけがあいつを守ってやれるのに。
Aの視界に入るのは俺だけだけでいい。
俺がAにとっての世界のすべてであればいい。
心の中に巣食った独占欲が溢れ出す。
どうすれば俺だけのものになる？
ああそうだ。
知らしめてやればいい。
俺に突き放されたら1人なんだということを、
わからせてやればいいんだ。
ドロドロと湧き出した黒い感情を抑えきれなかった俺は、それをそのままAにぶつけた。
『出久も一緒に帰ればいいのにな』
「そんなに俺以外のほかとつるみてえなら、デクとでもそこら辺の雑魚モブとでもつるんどけや。」
そう言ってAを置いて歩き始める。
慌てた足音が俺の後をついてくる。
『かっちゃん!待てって!!そんなこと言ってないだろ！』
焦ったように俺の腕をつかむAに自尊心が満たされていくのが分かった。
でもまだだ、まだ足りない。
俺をAの絶対的な存在にさせるにはまだ。
「触んな」
これで少しは反省するだろう。これからは俺だけを見て、ずっと俺のそばにいればいいんだ。
俺は腕をつかむAの手を振り払い早足で歩きだす。
その後であいつがどんな顔をしていたかも知らずに。
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小林くるみ - 主夢さんは女の子なんですか？ (2019年2月24日 19時) (
レス) id: fcdc749e3e (このIDを非表示/違反報告)
茜霧島(プロフ) - ありがとうございます！これからも頑張って下さい！ (2018年8月10日 23時) (レス) id: 299baa62bd (このIDを非表示/違反報告)
輝来-きら-(プロフ) - わー！ありがとうございます！！これからも楽しく読ませて頂きます！！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: 5db744124f (このIDを非表示/違反報告)
紺碧(プロフ) - 朔さん» はじめまして！パスワード限定を解除させていただいたのでよかったらご覧ください！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: a7b92d1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
紺碧(プロフ) - 茜霧島さん» 茜霧島さんいつもコメントありがとうございます！新しく小説を作成するため非公開にしていましたが解除しましたので良かったら読んでやってください！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: a7b92d1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧*konpeki | 作成日時：2017年7月16日 10時
