23話 ページ25
今日は長い仕事になるから困ったな、と考えあぐねいていると、トントンと扉を鳴らすノックの音が聞こえた。
「失礼します、二人共朝食はまだでしょう。食事をお持ちしましたよ...おやおやお熱いですね。」
『黒霧さん！
助けてください、弔が降りません。』
朝食の乗ったトレーを持って部屋へ入って来た黒霧さんにここぞとばかりに助けを求める。
首に絡まる腕の力がさらに強くなった。
弔は黒霧さんを鋭く睨みつける。
「でも、Aもそうされるのはお好きでしょう？」
フッと笑って告げられた言葉を俺はすぐには理解できずに呆然としていたが、しばらくしてその意味を理解すると、顔中に熱が集まるのが分かった。
『っ！何言ってるんですか！』
「おや？失礼、Aも満更ではなさそうだったので、」
『ちがっ！...くはないかもしれませんが、
....恥ずかしい。』
「大丈夫ですよ、貴方を咎める人なんてここには居ないでしょうから。」
俯きながら答えた俺に向かって、子供をあやす親のように優しく笑った黒霧さんを見て、自分がこれ以上言い訳をしても無駄だと悟る。
『黒霧さんはずるいなぁ』
「ふふ、貴方を甘やかすのが私の楽しみなので。」
「おい黒霧、邪魔すんな。
食事を置いたらすぐ帰れ。」
俺と黒霧さんがやりとりをしている間に不機嫌になってしまったらしい弔が口を挟む。
「はいはい、では邪魔者は早くお暇しましょう。」
食事が乗っていたトレーを持ち、部屋を出ようとする黒霧さん。
『あっ！朝食、ありがとうございます！
食べたら片付けに行きますね。』
「ありがとうございます、ではまた。」
パタンと扉が閉まる音が聞こえると、未だに膝に乗ったままの弔の方を向き直る。
『そんなことで怒る必要ないだろ』
「Aが黒霧ばかり構うのが悪い。」
そう言って拗ねたように俺の手を握りしめる弔。
これじゃあ怒るにも怒れない。
『全く仕方がないな。
ほら体育祭が始まる前に食べちゃうぞ。』
体育祭が始まるまでの間、俺たちは温かな朝食の匂いに包まれていた。
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小林くるみ - 主夢さんは女の子なんですか？ (2019年2月24日 19時) (
レス) id: fcdc749e3e (このIDを非表示/違反報告)
茜霧島(プロフ) - ありがとうございます！これからも頑張って下さい！ (2018年8月10日 23時) (レス) id: 299baa62bd (このIDを非表示/違反報告)
輝来-きら-(プロフ) - わー！ありがとうございます！！これからも楽しく読ませて頂きます！！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: 5db744124f (このIDを非表示/違反報告)
紺碧(プロフ) - 朔さん» はじめまして！パスワード限定を解除させていただいたのでよかったらご覧ください！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: a7b92d1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
紺碧(プロフ) - 茜霧島さん» 茜霧島さんいつもコメントありがとうございます！新しく小説を作成するため非公開にしていましたが解除しましたので良かったら読んでやってください！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: a7b92d1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧*konpeki | 作成日時：2017年7月16日 10時
