19話 ページ21
ずっと昔に、Aちゃんが僕の家に泊まりに来たことがあった。
そのころにはもう僕は無個性なんだと分かって、みんな僕を馬鹿にしていた。
けれどAちゃんだけは違った。
僕を馬鹿にすることなんてなく、
『出久は優しいし勇気があるもん！絶対ヒーローになれるよ！』
とまで言ってくれた。
強いのに優しい、それこそヒーローみたいな幼馴染。
僕は、Aちゃんのことが大好きだった。
たった一度の泊りだったけれど、僕はその日のことを鮮明に覚えている。
僕もかっちゃんも、Aちゃんの服の下に痣があることは分かっていたし、Aちゃんも僕たちにそれを隠そうとはしなかった。
だから一緒にお風呂に入るとなった時に、痣を見ても驚かないつもりでいた。
でもAちゃんの服の下には僕の想像を超えるような傷跡があった。
煙草を押し当てられたようなやけどの跡や、ナイフで切られたような深い傷。
あまりにも痛々しすぎるそれを見た僕は、言葉を失い固まってしまった。
そんな僕を見てAちゃんは気まずそうにうつむいて『ごめん』とこぼした。
お風呂からあがった僕たちは気まずい雰囲気を取り払おうと、ゲームをしたり、ヒーローの動画を見たりして、夜遅くまで盛り上がった。
Aちゃんが笑ってくれて心から安心して、こちらまでうれしくなった。
でも一緒に同じ布団に入って眠り始めたAちゃんに、ぼくはまた衝撃を受けた。
『いやだ、許して、痛い、ごめんなさい。』
どうしたんだろうと飛び起きると、
涙を流しながらうなされるAちゃん。
そんな姿をみて、まるで自分が傷付けられたみたいに心臓が痛くなった。
どうして僕の大切な幼馴染がこんな目に合わなければいけないんだろう。
うなされるAちゃんの手を握りしめることしかできない自分に腹が立った。
僕に力があれば、Aちゃんを守れるのに。
どうして僕は無個性なんだろう。
そして怖くなった。Aちゃんを助けることもできない自分が彼のそばにいても仕方がないんじゃないか。
だけどそんなのただの言い訳だった。
僕が本当に怖かったのは、Aちゃんを失った時に自分を責めること。
自分が守れなかったという後悔を背負いたくなかった。
だから僕はAちゃんを避けた。
君を失ってしまうとも知らずに。
ねえAちゃん、
君をそんなに追い詰めたのが僕なら、いくらでも償って見せるから。
だからお願い。
帰ってきて。
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小林くるみ - 主夢さんは女の子なんですか？ (2019年2月24日 19時) (
レス) id: fcdc749e3e (このIDを非表示/違反報告)
茜霧島(プロフ) - ありがとうございます！これからも頑張って下さい！ (2018年8月10日 23時) (レス) id: 299baa62bd (このIDを非表示/違反報告)
輝来-きら-(プロフ) - わー！ありがとうございます！！これからも楽しく読ませて頂きます！！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: 5db744124f (このIDを非表示/違反報告)
紺碧(プロフ) - 朔さん» はじめまして！パスワード限定を解除させていただいたのでよかったらご覧ください！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: a7b92d1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
紺碧(プロフ) - 茜霧島さん» 茜霧島さんいつもコメントありがとうございます！新しく小説を作成するため非公開にしていましたが解除しましたので良かったら読んでやってください！ (2018年8月10日 20時) (レス) id: a7b92d1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧*konpeki | 作成日時：2017年7月16日 10時
