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Aさんは腕を捲った状態で、ゆっくりと口を開き始める。
『この前、キッチン棚の少し高い場所にあったものを取ろうとしてバランスを崩し、台から落ちたんです。その時に打ってしまって....その場に山上くんがいた筈なので知っていると思いますけど』
川上「山上くん、本当？」
山上「あ、はい。確かに居合わせました。でも」
『ほら、彼もそう言っているじゃないですか。はい、もう良いですよね。僕、少し休みますから』
一方的に話を終わらせて、Aさんは執務室を出ていってしまった。すっかり空気の重くなった室内は、今とてつもなく気まずい。それから話の最後、彼女は強引に切ったけど、山上さんは何か言おうとしていたような気がする。
それについて聞こうとしたんだが、納得いかない様子だった伊沢さんと川上さんが仕事を再開したことで、そのタイミングを逃してしまった。他の人達が仕事を始める中、僕はしっかり閉められた扉を見つめ、ただ立ち尽くしていた。
・
少し経ち、みんなが休憩を始めた頃。先ほどまで寝ていたAさんが起きてきた。服の下が少し気になるものの、誰かが買ってきた和菓子を彼女にも勧める。だが、顔を洗いに行ってしまった。それと、伊沢さんや川上さんの彼女に向ける視線がものすごーく痛い。まぁそうなるのは分からないでもないけど。
気になる気持ちは一旦忘れ、雑談に集中する。そこへ洗顔から帰ってきたAさんも合流して、クイズや撮影のことを話した。その間、お二人の視線はずっと彼女に向けられていたが、本人は全く気にしていない様子で。気づいていないのか、気づいているが敢えて無視しているのか。僕には全く分からない。
ピコンッ
そう思っていた時、どこからかLINEの着信音がした。ポケットに入っている僕のからではないし、まわりに座る福良さんやこうちゃん達でもない。不思議に思いキョロキョロと見回すと、そこにはスマホを弄る人物が一人。白くて細い指で、下にスクロールしている。彼女はそれを暫く見つめていた。
その時だ。彼女の様子が少しおかしかったのは。
切れるんじゃないかと思うぐらいに下唇を強く噛み、画面をジッと見つめているAさん。そんな彼女が僕には、酷く怯えているように見えて。スマホの画面を操作する指も、身体も、心做しか震えているように思えた。ただ顔には出ていないから、全部僕の勝手な憶測でしかないし、確かな理由もないんだけど。
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猫さくらもち - もう最高です！見つけて一気読みしちゃいました！設定の「izwさんがちゃんと挨拶するくらい珍しい」って場所で吹きましたwww確かに珍しいですよね！ (2022年4月13日 20時) (
レス) id: f692ce80b7 (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 菜々さん» メッセージありがとうございます！私生活の方で色々と問題が発生しておりましたが、周囲のサポートもあって解決の兆しが見えています。まだまだ不安定になったり、テストの影響で更新が出来なくなる可能性がありますが、気長に待って頂けると嬉しいです。 (2020年7月19日 0時) (レス) id: caaf2f8cbb (このIDを非表示/違反報告)
菜々(プロフ) - 密かに読ませていただいている者です。気長に待っておりますので、自分が納得できる作品を書き続けれるように応援しています。部外者が口を挟んで申し訳ないです。ですが、楽しみに待ってます！ (2020年7月17日 23時) (レス) id: e61bb105c2 (このIDを非表示/違反報告)
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