恩返しです ページ3
山本side
彼女に異変を感じ始めたのは、つい最近のこと。
ある日。動画数本の撮影を開始する為、皆さんが次の準備なり他の作業なりに取り掛かる中、僕はやることがなかったので執務室に入った。その中にはライターが数人いて、部屋の真ん中に置いてある机に集まって休憩がてらの雑談をしていた。僕も呼ばれた為、返事をしながら小走りでそこへ向かう。
席に着いてから会話に交ざろうとした時、ふと視線を横に向けると、部屋の奥にあるデスクに白髪の誰かが座っているのが見えて。まぁ、この会社に白髪の人は一人しかいないんだけど。その人は頬杖をつきながらパソコン画面に集中していた。時々眉間に皺を寄せ、削除キーを押している。
山上「…桜舞さん、ずっとあの調子なんです」
志賀「話し掛けても、どこか上の空って感じで」
山森「疲れてるのかもだけど、誰が何て言っても全く休もうとしないんだよね……」
みんなは僕がAさんを見ていることに気がついたらしく、そんな風に話してくれた。
あ、そうそう。言ってなかったと思うが、Aさんは僕ら主要メンバー以外にも自分が``桜舞グループの次期後継者だ´´ということを明かした。日本最高峰の頭脳を持つ彼らに、いつまでも隠し通せる筈がない。と彼女は話していて。それには僕らも賛成した。彼女のことだから、自分のやりたいようにすべきだしね。
勿論、最初はみんな驚いていた。でも、誰一人として彼女を否定しなかったし、寧ろ、そんな大事なことを話してくれてありがとう。そう感謝していた。その他ライター達は僕らが裏で何やらコソコソしていることが、ずっと気になっていたらしい。それに関しては、本当に申し訳ない。
安易に話せるような内容じゃなかったからね。
とまぁそんなこんなで事情を知っている彼らも、最近は特に忙しそうなAさんを心配している訳だが、彼女は一向に休憩しない。こちらとしては川上さんか水上さんを連れてくるのがベストな解答なんだけど、今お二人は大学卒業に向けての卒論やらで忙しくて、全然オフィスに来られていない訳だ……
態々呼ぶのも申し訳ないし、かといってAさんが素直に従ってくれるとも思えない。今現在、ボーッとしている彼女は画面に文字を打ち込んでは削除、画面に文字を打ち込んでは削除と、同じことを繰り返している。
どうしたものかと考えた時、撮影の準備を終えた福良さんに呼ばれ、執務室を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫さくらもち - もう最高です！見つけて一気読みしちゃいました！設定の「izwさんがちゃんと挨拶するくらい珍しい」って場所で吹きましたwww確かに珍しいですよね！ (2022年4月13日 20時) (
レス) id: f692ce80b7 (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 菜々さん» メッセージありがとうございます！私生活の方で色々と問題が発生しておりましたが、周囲のサポートもあって解決の兆しが見えています。まだまだ不安定になったり、テストの影響で更新が出来なくなる可能性がありますが、気長に待って頂けると嬉しいです。 (2020年7月19日 0時) (レス) id: caaf2f8cbb (このIDを非表示/違反報告)
菜々(プロフ) - 密かに読ませていただいている者です。気長に待っておりますので、自分が納得できる作品を書き続けれるように応援しています。部外者が口を挟んで申し訳ないです。ですが、楽しみに待ってます！ (2020年7月17日 23時) (レス) id: e61bb105c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
