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川上side
山本の様子がおかしいと思い始めたのは、山本が加入して数ヶ月が経過した頃やった。
初めて会った時から自然な笑顔を見せていた彼。なのに最近は何をするにも無理をしているように見えて。時おり鳴る携帯に肩を震わせながら反応していたり、その送られてきたメール内容を見てオフィスを出ていくことが増えたのだ。
最初は仕事と学生の両立が忙しくて疲れているだけなのかもしれない、と思ったんだが、同時期にAも山本の様子が変だ、と言い出したから。あいつは人の変化に気づきやすい為、山本に僅かな違和感を覚えたんだと思う。
その場には福良さんも居たので、二人で伊沢さん達に報告して終わった。みんなで見ておこう、と決めたものの、日に日に弱っていく山本を見るのは辛かった。何を聞いても答えてくれないので、出来ることは少なかった。
そしてつい先程、山本は全員の制止を振りきってオフィスを飛び出して行った。彼の顔が苦しそうだったのは見間違いではないだろう。Aの推測通り山本がいじめられているんだとしたら、先輩として、兄として、仲間として助けたい。
それはみんな一緒だ。大切な仲間が苦しんでいるのなら、助ける以外に選択肢はないし。
だが、行こうにも場所が分かっていなかった。
こう「今すぐ行くべきです！！」
伊沢「闇雲に探しても埒明かないだろ!?」
福良「二人共ちょっと落ち着いて！」
焦る気持ちは分かるが、焦って空回りしていたら意味がない。今は落ち着かないといけない。
＿＿＿＿そう思った矢先
オフィスのドアが勢いよく閉まった音がした。全員が驚いて振り向いた時、あいつの姿が何処にも見当たらなくて。室内が一旦静まり返る。
あいつらしくない行動だった。
河村「川上、着いて行って！」
川上「っはい！」
必要最低限の荷物をかき集め、鞄に押し込みながらオフィスを飛び出す。外に出ると、建物の前には茅野の車が停まっていて。開けられたドアから俺が乗り込むと猛スピードで発進した。
川上「....無茶すんなよ」
『別にしてない。山本くんの方が大事でしょ』
ほんま、こいつの自己犠牲精神には苦労する。
川上「場所分かってるん？」
『分からない。ただ、候補はいくつかある。山本くんが知っているところ尚且つ何度でも行けて、彼がそこにいて違和感のないところ』
可能性があるとすれば....
川上「....早稲田大学」
『僕はそう思う』
茅野「ちょっと飛ばします」
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