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河村「本当。クリームはかぼちゃを練り混んで、あのスポンジの中には細かく刻んだピーマンやらキャベツやらを入れて焼いてあったんだよ。福良にはバレない程度のサイズで」
福良「え、いや、普通に美味しかったじゃん？？野菜の味なんて微塵もしなかったし....」
山本「そうしてあったんですよ。福良さんが食べてくれるように、栄養もしっかり摂れるように」
こう「俺らが甘いケーキ作っちゃったから、もう一つ作るんなら甘すぎないのにしようかって」
桜舞さんが、と最後に付け加える。桜舞ちゃんの方を見てみると、川上に隠れていた。逃げようとしていたのかは知らないけど川上に捕まえられ、またまた俺の前に差し出される。
福良「桜舞ちゃんが考えたの？」
『....ダメ、でしたか？』
彼女の顔には、また不安の表情。
福良「ふふっ真逆だよ笑。あれなら、いくらでも食べられるかもしれないかな」
河村「えっ！」
伊沢「福良さん本気で言ってるの!?」
福良「本気も何も、美味しかったんだもん。あれなら本当に食べられたよ？素直な気持ち、お世辞じゃない」
作ってくれた上に俺の健康まで気遣ってくれてたなんて、誰が聞いても感動するでしょ？今日の俺は母親役だし、お母さんなら子供がやってくれたことを否定したりしないから。それがうちの姫であるなら尚更ね。
福良「だって河村みたいに無理矢理食べさせられてる訳じゃないし。見えない工夫があった」
河村「僕だって結構やってるんだけど」
山本「悪意があるからじゃないですか？」
こう「福良さんも食べなさすぎです」
須貝「好き嫌いはよくないぞ〜」
伊沢「ご飯は大事！」
『今回ばかりはその通りですね』
川上「誰と誰が言ってるんだ」
俺の発言から室内が騒がしくなって、主役の筈なのに端へ追いやられてしまった。ここで宥めるのは母親の仕事なのか？と考えたんだが、たまには兄弟喧嘩も見ていたいので放置しておく。
暫く眺めていれば、唯一の女の子がゴミやコップを持って出ていくのが見えた。そういえば片づけの途中だったんだっけ。手伝おうかと思い、机の上に広がったものを片していく。と言っても殆ど桜舞ちゃんがやってくれてたんだけど。
彼女に着いていった先にあるキッチンは、なんとびっくり粉まみれ。さっき川上が言ってたのはこれのことだったのね。
福良「派手にやったね〜」
『伊沢さんが間違えてふくらし粉を入れて焼いたらしくて、爆発したんだそうですよ』
福良「伊沢はキッチン出禁だ」
そう言うと、隣から小さく笑い声が聞こえた。
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