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水上「生きてる？」
知っている声が痛い鼓膜を揺らす。この主はこれから研修医として忙しくなるであろうプリンスだ。彼が向ける視線は僕に刺さるようなもの。
なに、何て言ってるの....？分からない、聞こえない....呆れてて、蔑まれているように感じる。
まるでお父様みたい。
そんな訳がないのに、体調とは恐ろしい。普段優しい彼がそんな風に見えるなんて、僕の脳内は壊れてしまった。顔はちょっと歪んでいると思う。
今、唯一分かるのは彼が僕を見た時に一瞬ポーカーフェイスが崩れたことだった。多分だがこっちに近づいてきている。
水上「桜舞、いつからなの」
『....なに、が........』
水上「パンダみたいな隈、自覚ないくらい酷い震え、青白い顔、冷や汗....これ何か分かる？」
『....大丈夫だから、ほっといて....』
水上「見えてないな....お前のボールペンだよ。呼吸苦しくない？僕の声、聞こえてる？」
『....ぁ、もう、大丈夫だって、』
みんながまわりに集まって来ているような気がする。視線が、怖い。みんなが僕を見る。完璧に出来ていなかったのか、何かミスを犯したのか。もっと、もっと完璧に、完璧にしないと....
僕に伸ばされた手を払い除ける。視界がまた揺らいだ。一瞬目の前が真っ暗になり、胸ぐらを掴まれる感覚が走る。苦しい、痛い。
・
視線が、怖い....
『はっ、けほっ、ごめ、なさっ、はぁっ、』
川上「ｯA!?」
水上「川上、焦らないで。この状態で過呼吸は危険だな....誰か車出せる人います？若しくは救急車呼んで下さい。あと体温計ありませんか？」
こう「お、俺！救急車呼んで来ます！」
須貝「ほい！体温計！水上、あの、さ....Aちゃん....大丈夫だよな....？」
水上「最近の睡眠不足から一時的な視覚障害、突発性難聴、風邪からの熱、それと栄養不足もありますね。過呼吸は何か、精神的なものかと....」
身体が酸素を求めている。みんなは何を話しているのか。多分僕は床に寝転んでいて、まわりに人が集まっている。酷い頭痛、脳に酸素が足りない。苦しい。
その中で、知っている匂いが鼻を掠める。僕の背中に暖かい腕を入れて支えてくれている気がした。頭がグラグラする。苦しい、辛い。
考えている間に身体は限界へ達し、僕の意識はそこでプツンと音をたてて途切れた。
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