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クイズを始めて1年程が経った頃、つまらなくなった。
研究会で練習したり大会に出場したり、色々なことがあった。クイズ自体は楽しかった。知識は必要だし技術も駆使しないといけないから。
でも、僕の場合は能力があるから見ただけで覚えてしまう。まわりと練習してても、僕が全部答えて終わってしまう。つまらない。
時期に研究会には行かなくなった。丁度その時期、父にクイズ研究会に所属していることがバレて散々殴られた。そんなことで将来会社を継げるのか、完璧以外無意味だと。
だから僕はクイズを辞めた。自分が完璧だとまわりが弱い。クイズが将来に関係することはないから、別に続けなくても大丈夫でしょ。
クイズを辞めてすぐに僕はハーバード大学を受験して、合格した。しかも全て満点で。まぁ桜舞家ではそれが当たり前だ。大学側も異例の事態で困惑していたらしい。
あっちは面白くなかった。同年代の人間は勿論いないし、仲良くなろうとも思えなかった。僕がまわりと交流しないのは関わりを持っても意味がないことに加え、桜舞家の家訓が関係しているから。その内容は大きく3つ。
1、人間を信用するな
2、他人に意見を求めるな
3、常に完璧でなくてはならない
産まれてからずっと言い続けられてきた言葉。これを続けていればいつか認められる、父に誉めてもらえる。幼少期はそう信じていた。だが今はそんなこと微塵も思っていない。
父やお爺様にとって、僕は単なる道具でしかない。命令すれば言うことを聞く便利な道具としか見えてないから、期待なんてしても無意味だ。
そう分かっていても完璧にしてしまうのは、昔からの癖とただ単純に暴力を受けたくなかったから。一時期、体中が痣だらけになったことがある。いじめもあったけど、会社が不景気で上手く行ってなかった時期だった。
道具としか見られていない上に八つ当たりで暴力を振るわれる。それでも完璧にしようと努力する。まわりから見たら僕はおかしかったのかもしれない。実際に心がぐちゃぐちゃになりそうな時もあった。
それでも壊れなかったのはアメリカに渡って4年、ハーバード大学を首席で卒業して推薦で東大に入学。その2年後にあの人達と、また再会したからだ。
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