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今回は、この本丸の堕神を斬るという任務であるが、さっきの斬りかかってきた短刀しかみていない。
どうしたものか、切人は考えた。
１ヶ月前とはいえ、目の前のおかん曰くまだ縁が繋がっているらしいので、それを見つけなればならない。
今日の任務はそれらをきる、というのもあるからだ。
本霊に帰ることができなくなった分霊はこの世でさまよいつづける。刀の誇りを失った彼らを見るたびに切人は人を、審神者に失望してしまう。
「これは……」
「どうした、縁切」
手元を凝視する縁切。
持っていたのはよれよれの日記のようだ。
×月×日、江戸城から帰還、乱藤四郎破壊。
軽症一振、中傷三振。
×月×日、厚賀山から帰還、信濃藤四郎、一期一振、日本号の三振が破壊。
重症三振。
×月×日、へし切長谷部重症後に本丸にて破壊。
ページの上から下までびっしりとかかれていた。
おそらくは初期刀、加州清光のものだろう。
はじめのページをめくると普通のどこにでもある日常が綺麗に整えられた構図で書かれていた。
×月×日、主と万屋へ行った。
赤い髪紐を貰った。俺に似合うからって買ったんだって。これからは毎日これ使うねって言えば、頭を撫でられた。
×月×日、この本丸ができて一年。
仲間も増えて賑やかになったなぁって思う。俺、初期刀だからもっと頑張らなくちゃ。
切人は栞のように挟まれている赤い紐をみる。それは、まあ、そういうことだろう。
(ああ、いい本丸だったんだろうなぁ)
切人は縁切が刀を取り出し、その紐を切るのを横目に執務室の棚やら、机やらを探る。
「おい、切人」
「きれた？」
「きれた」
縁切。
読んで字のごとく、縁を切ることができる刀。
加州清光と審神者との僅かに残っていた縁があったのだろう。
この部屋にはもう縁はないようだ。
だが、まだ本丸に残る妙な気配が消えていない。
「次はどこにいく？」
「近侍部屋」
「あいあいさー」
切人と縁切は執務室をあとにした。
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作者名：お清 | 作成日時：2019年5月30日 13時
