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加州と縁切が少し間を空けて座りその間に日本酒を持った切人が座るというなんともいいがたい構図だが、切人は楽しそうだし加州は気にしてなさそうなのでそのまま動かないことにした。
加州は縁切に酒杯を渡すと、切人が酒を注いだ。
濁り酒だった。
暫くは酒を飲んで注いでつまみを食べて、という時間を過ごし、酒がまわってきたところで加州が口を開いた。
「五虎退はいた？」
「…………はい、いました」
「あの子の気配が消えたからね」
注がれた酒を仰ぐ、からになった酒杯を見て、またとくりと注がれる。
「極のカンスト短刀だったんだよ？ 主が頑張ってレベル上げしてたのも懐かしいね」
「審神者は、この本丸の主はどこに……」
「食べられたよ、亡骸は俺が埋めたんだけど、掘り返されててね、もう骨だった」
「あなたは、自刃したと」
審神者は加州清光によって首をはねられ、加州自身も自刃した。
報告書にはそう記載されていたのだが。
縁切は頭の中に記録されたこの任務内容を確認する。
「俺はもう折れてるよ」
ほら、透けてるでしょ。
加州は手を月にかざした。手の甲から丸い月がよく見える、とこちらを向いた加州の顔も少し透けていた。
透けた輪郭に触れようと手を伸ばすと、加州は薄く微笑んだ。
(ああ、なんだ、触れねぇじゃないか)
その手は触覚を感じることはなく、ただ加州の髪が少し揺れた程度だった。
「縁が切れたんだ。この本丸との縁も、主との縁も、すべて」
縁切の脳裏に、日記に挟まれていた赤い紐が浮かんだ。そしてあれがすべてを繋げていたのだと、理解する。
虚しさやら、罪悪感やらで縁切は顔を歪めた。これでよかったのだろうかという後悔ががらにもなく出てきそうで、固く目を閉じた。
縁切、その銘が俺につけられたということはそういうことだ。
後ろで、瓶を置く音がした。
「……答え合わせをさせていただけませんか？ 加州清光様」
黙っていた切人が口を開いた。顔に表情がなく。真剣な眼差しだ。うーん、控えめに言って最高。
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作者名：お清 | 作成日時：2019年5月30日 13時
