・ ページ2
「……ここまでよく審神者をやってたもんだな」
「ほんとそれ」
夜伽、虐待、手入れ放置。
定番のブラック本丸の行いだ。
「……あいつ連れてきたらよかったな」
所々にこびりついたような穢れの塊を見て、切人は穢れを斬る専門の同僚を思い浮かべた。
その同僚は、今頃プリンでも作っているだろうが。
「帰ったら腹いせにあいつのプリンでも食うか、高級の」
「お、いいなそれ」
とか、普通に会話を交わしてはいるが、結構本丸の奥に入っているのである。
切人は疑問に思った。
今、どこに向かって歩いているのか、と。
「……今どこにいってるの」
「しらん」
「は？ 縁ちゃんばかなの」
「おまえもだろ」
「そこ執務室ぽいから、そこ入ろう」
「あいあいさー」
やる気のない返事を返しながら、すぐ前の障子に手をかけ、すっと開いた。
「きたない」
「審神者は仕事もろくにしなかったのか」
切人は足元に落ちている書類を手に取った。
ブラック本丸だと認定されたのが六ヶ月前、審神者が亡くなったのは一月前。そしてこの書類は提出期限をみるに二年前のもの、よほどやる気がなかったとみえる。
このやる気を微塵も感じさせない審神者は初期刀の加州清光に首を切られたのだという。
その後、加州清光も自刃し、折れた。
残った刀剣男士たちは、折れるか、堕ちるかしてこの本丸に残っている。らしい。
元は審神者の中でも上位に入るほどの戦績であった審神者になにがおきたか、ブラックの中のブラックの所業をするとは。
(なにがあったんだか)
切人はそこまで考えて、書類を地面に捨てた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お清 | 作成日時：2019年5月30日 13時
