170.暴露 ページ45
歌詞太郎side
歌「…はぁ、」
手紙から顔を上げる。
周りを見渡すと、呆然としている人、涙を堪えている人、泣きじゃくる人、その人を支える人。
俺だって泣きたいけど、このシェアハウスの最年長は俺で、一番落ち着いていないといけない立場にある。
だから
歌「…皆、一回落ち着いて。今は状況を把握すべきだ。泣いててもどうにもならない」
l「…そうやね」
luzくんが同意する。
桜「そもそもアイツは誰かに命令されたのか連れていかれたのか、はたまた自分から行ったのか…選択肢が多い」
歌「だよね…手がかりは…」
考えこんでいると、天月君が声をあげた。
天「あ、あれ？歌詞さん、これ…」
天月君が僕に見せたのは、いつか見た黒い封筒。
キャ「それって、正美の時の手紙じゃ…なら、正美の時の犯人とこれが、同一犯ってこと…？」
封筒に入っていた便箋を取り出して広げる。
歌「…そうみたい、だね」
隣で読んでいたそらる君が顔を上げた。
そ「松衣家が手を回したのは確かだけど、なんで…？」
月弥なんかしたっけ？と眉を寄せるそらる君。
粉「──────月弥が松衣家の令嬢で、そして月弥が家出をしたから、ですよ」
「「「「……え？」」」」
見事にハモった。
何それ待って初耳。家出？
優衣ちゃんと正美ちゃんは事情知ってるみたいで納得しているけど、他の皆はざわめいている。
ま「…あっ、そういえばあの時そんな事言ってたような…」
まふくんが何か思い出したように呟いている。
何も事情が分からない僕らに、優衣ちゃんが簡単に説明してくれた。
う「なるほど…それでシークレットゲストか」
うらたくんが１人納得したように腕を組んでいた。
天「わざわざこの手紙置いておいたって事は、助けてほしいってのも同然ですよね？まぁ、言われなくとも助けますけど」
ねぇ？と天月君が皆に賛同を求めた。
そ「当たり前じゃん〜、逆に他の選択肢があるわけ？」
桜「いや無いですね」
他の皆もそうだそうだと声をあげる。
歌「そうと決まれば、早速策を立てようか」
────独りになんて、させない。
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作者名：月見だんご | 作成日時：2017年8月21日 23時
