焦燥感 ページ5
＿＿＿＿＿
放課後になると、Aはスケジュール帳を確認しながら、司に尋ねた。
「司、生徒会室ってあっちで合ってる？」
「方向は合ってますが.......
必要でしたら、私が校内を案内しましょうか？」
「ほんと？ありがとう」
転校生が初日から迷子になったら、不親切に案内を怠った自分の責任だ。
それに、何でもできるAに初めて頼られて、司は悪い気はしなかった。
予定まではまだ時間があるとAが言うので、そのまま2人で軽く校舎を回ることになったのだが。
どうも彼女の様子が、今日初めて夢ノ咲学院に来た人だとは思えない。
司が説明を割愛しても、何の部屋か言い当てたり。
どの道順が最短かと迷っていると、「こっちから行った方が近い？」と見抜いていたりと、やたら校内に詳しい。
春から在籍している司でさえ、学院が広すぎて全体を把握できていないのに。
初日からほとんど覚えているAに、校舎の案内など必要なかったのではないか。
断るのが申し訳ないから司の提案を受けたのでは、なんてことまで考えてしまい、嫌気がさした。
「Aさん。ほとんど覚えているように見えますが、本当は必要ないのに司の提案を受けたのですか」
「必要ないなんてことないよ。せっかくだし、実際に見て回ってもいいかなって………」
「私も暇ではないんですよ」
驚くほど冷たい言葉が出てきて、司が言ってしまった、と思った時にはもう遅かった。
「っ...........すみません」
「あ、そうだよね、ごめんね。
忙しいのにわざわざありがとう＿＿＿＿＿」
「予定があるので失礼します」
Aは悪いことはしていない。
していないのに、困り笑顔で謝るAが見ていられなくて、司は彼女に背を向けて置き去りにしてしまった。
中途半端なところに置いてきてしまったが、彼女は迷わずに何事もなく帰ってこれるだろう。
何でもできる天才肌のAの隣にいては、いつか焦燥感で自分の心が疲れてしまいそうだ。
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トド(プロフ) - にんじんさん» そんなに楽しみにして頂いてたとは！！嬉しいお言葉ありがとうございますー！！今後の励みになります！ (10月2日 19時) (
レス) id: a788b41716 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！毎回の更新楽しみにしてて朝に読んでテンション上げて行くのが日課になってました！！ありがとうございました🙏 続編も楽しみにしてます！ (10月2日 18時) (レス) @page47 id: 96c9f21394 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ありがとうございます！！本当に嬉しいです😭 (8月23日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - とても面白いので更新楽しみにしてます！ (8月23日 22時) (レス) id: 44f6912c5a (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ^^さん» そうですね。評価ばかりどっと増えたので、同じ方が入れてるのだと思います。 (8月18日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トド | 作成日時：2023年8月18日 19時
