212話 「ウサちゃんに代わりまして」 ページ19
体感だと読み始めて十分。いや、実際は絶対に長いはずだが、本読んでると時間感覚が馬鹿になるという事を分かってくれる本好きは多いのではないだろうか。文字追っかけてたら……あれっ、二時間！？うそ！！？みたいな。
それが起こってるかもしれないが、とりあえず十分くらいだ。まだ俺のフラペチーノは半分も減っていない。文字をつらつらと目で追っていれば「おい」と呼ばれる。
瞬間、文字を追うことをやめてしまった。しかも顔は全力で前向いちゃったし。
『え……なんで？』
「……ウサちゃんの代わりだ」
ホラよ、と向けられたのは茶封筒。あら銃兎さん律儀にどうも……じゃなくてですね。
なんで左馬刻さん？え、場所の指定も時間の指定も俺がさっき「到着しました。テラスのところに座っています」とLINEを送ったのも銃兎さんの筈だ。間違えてもこの目の前の白髪美形ではない。
茶封筒とは逆の手にホット用のカップを持った左馬刻さんなわけだが、それを俺の座っている机の上にトン、と置いた。そしてまさかの相席である。で、再び「ん」なんて言って茶封筒を差し出し直す。何が何だかわからないが、無視するわけにもいかないしという事で開いているページに一旦指を挟んで封筒を受け取った。
『ど、どうも……ありがとうございます』
「おう」
『…………』
「………お前、そういうの好きなのか？」
顎で示されたのは勿論、俺の片手にあるラノベ。そういうのとはアニメとかゲームとかこういうのとか含めてってことだろう。コーヒーを傾けながら表紙をじいっと見る左馬刻さんである。
『好きっちゃ好きです……コレは友達におすすめされたんで』
「ふぅん」
「興味ないなら聞かなきゃいいじゃないですか」って言葉が喉元まで出たがぐっと飲み込んだ。なぜか左馬刻さん相手だと余計な一言が出かかる。銃兎さんにも脳内ツッコミをよく入れることがあるし、口から出そうになったり実際飛び出たりするがここまでの頻度ではない。それも結構やばいやつ。
会話が途切れたのをいいことに再び本を開いた。何もせずに無言は怖い。数日前のヤツを謝らなきゃとはずっと思っていたが、今日までビビり倒して連絡すら取っていなかったわけだ。こんないきなり至近距離のエンカウントしたって言葉も頭もついて行かない。
かといって内容も全ッ然頭に入ってこないんだからもうどうすればいいのやらだよ。助けてパトラッシュ。僕なんだが泣きたくなってきたよ。
213話 「死に場所の希望とかありましたら」→←211話 「俺の推しはクレヴォ・グアン」
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています(￣▽￣)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください！応援しています。 (2019年6月3日 18時) (
レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます！楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます！毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください！ (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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