225話 「そっちじゃなくてこっち」 ページ32
青や黄色、銀色ベースの黒など、カッコいいバッシュを一つひとつ手に取って眺めていると、見覚えがあるものを発見。
『あ、見たことある……たしか』
二郎とのトーク画面を開く。少し遡って一つの画像を表示した。
これめっちゃカッコいいよねって話で盛り上がっていた靴だ。二郎は白基調の青と銀のヤツがいいって言っていたが、俺はその横の黒基調の赤と金がいいと言って会話が終わったモデルのバッシュ。
『やっぱカッコいいな……あ、サイズある』
少し上の方にあった箱を取り出して履いてみた。
うん、すごくカッコいい。バッシュだけど普段履きも勿論できるだろう。動きやすそう。
……これもメーカーはジョーダンなんですけどね。ハハッ、高いぜ。
でも今まで無駄遣いしてないからキヨばあの漁での貯金額でいけそうだな……今度買おう。
心に決めて靴を脱ごうとしていると煙草から左馬刻さんが戻ってきた。荷物がなくなってるからもののついでに一旦車に置いてきたのだろう。さっき車あるって言ってたし。
「ここに居やがったか」
『か、勝手に動いてスンマセン』
「ん」
ポンっと俺の頭を叩いた左馬刻さんは俺の横にあった箱を手に取る。
だがしかし、そっちは今俺が履いているバッシュの箱だから空っぽです。
『あ、左馬刻さん。こっちです』
「あ?……こっちはそれか」
『カッコよくないですか?ちょっと今の服にはダメでしょうけど』
靴を脱いで左馬刻さんが差し出す箱に入れた。そして棚に戻す。
左馬刻さんとは反対側に置いていた箱を持って立ち上がる。
「なんで戻してんだ」
『あ、欲しいのこっちです………っていうか、ホントにいいんですか?服も買っちゃってもらってんのに』
「いいっつってんだろ。テメェはほんっとにしつけーなァ」
呆れたように笑いながら目を細めて頭を撫でる左馬刻さん。
あ、まただ。きっと今のは俺を撫でながら過去を愛でている。
少しだけモヤっとした。
結局靴も持ちますって言ったのに断られた。くそう。
ちょっとお手洗い行きたいと言えば「待ってるから行ってこい」と見送られる。が、何を思ったのか俺がトイレに着く前に「テキトーにその辺の店見てろ」とメッセージが送られてきた。
もうニコチン切れたのか?喫煙者は大変だな。
「キュ!」
『あ、銀。そうだよな、ずっとバッグの中はしんどいよな』
すまんと撫でれば大したことはないといったようにもう一度鳴いてバッグに戻って行った。正確にはバッグの中の籠の中だろうけど。
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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