197話 「524!!」 ページ4
左馬刻さんに許可を頂いたのでチータラをモグモグと咀嚼する。
なんだこのチータラ、お高い味がするぞ。チーズが美味いのか?もう一本差し出されたのでぱくりと食いつけばクツクツと笑われた。だってこのチータラ美味しいんだもの。俺悪くねえ。
二本目も食べ終わってちらりと左馬刻さんを見れば「ン」と頭を撫でられた。まだ食べていい許可を頂いたため三本目を口に含む。
夢中で食べているとグラスを持っていないほうの手でぐいっと肩を引き寄せられた。その後ゆるゆると頭から首筋を撫でられる。ちょっとくすぐったいけど人肌が気持ちよくてされるがまま。俺の手は四本目のチータラに伸びた。
「酒飲むか?」
『あ、いえ。大丈夫です』
「そーかよ」
耳朶をふにふにと揉まれて耳の背を撫でられる。ビクッと肩を跳ねさせれば笑われた。チータラを咥えたままジト目で見れば「文句あんのか?」と悪戯っぽく言われる。ないです。
飛び出ていた部分を口に入れてモグモグと噛んでいれば左馬刻さんの指が耳の穴に入ってきた。
『ひゃんッ!』
「くすぐってぇか?」
『何すんですか!』
「理鶯が言ってたからな」
『はい?』
「感度良好って」
綺麗な顔がずいっと近寄ってきたので反射で体が後ろへと逃げる。すると見計らったように左馬刻さんの腕が伸びてきて肩を押された。体重を後ろに掛けていたのでそのままころんとソファに背中が沈む。え、なにこれ。俺に馬乗りの状態の左馬刻さん。顔綺麗ですね。
「理鶯あたりに文句言われるかもしれねえが、味見くらいいいだろ」
『……味見?』
「ふはっ、カマトトぶってんじゃねえよばぁか」
意味を考えようとしても思考が停止しているこの状況では何も導き出せない。ひとつだけわかることはといえば、何か嫌だ。何か怖い。左馬刻さんの目の奥に見える気がする炎。見覚えがある。似たようなやつ……あ。
『ッ!』
「ぐぅっ!」
足の裏で左馬刻さんの体を蹴り飛ばした。元々そんなに力は入っていなかったらしく簡単に左馬刻さんの下から逃げることに成功。立ち上がって玄関へ一直線。道中でバッグも引っ掴んだ。ドアを開けて外へ。そして俺は手摺の外へと飛び出した。
出っ張りに足と手を引っ掻けながらツーフロア下の廊下に着地、そのままエレベーターを待ってやってきた箱の中に乗り込んだ。
もう左馬刻さんの部屋には戻れない。急に蹴り上げてしまったわけだし、何よりも……思い出してまた震えだした自分の身体をぎゅっと抱きしめた。
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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