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32幕 ページ33
背中越しに伝わる声が、ほんの少し震えている
剣心は刀にかけた左手はそのままに、身動きもせず目ばかりを見張っていた
私には剣心しかおれへん、と確かに背中から聞こえた小さな声は川の流れに掻き消されていく
しばらく彼女の気持ちを汲み取るように黙った後で、剣心は穏やかに微笑み振り返った
「必ず、帰るでござる」
そして刀から手を離し、背の低い志穂に向いてわずかに屈み込む剣心の顔にいつもの優しさが戻った
「うん」
その笑顔に安心したように何となしに、志穂は一歩後ろへ下がる
次の瞬間志穂の身体が突然、宙に舞った
「……!」
一瞬 時が止まったように錯覚したその先に、確かに目と目が合ったのは黒笠 鵜堂刃衛
それは剣心が気が付くよりも早い、刹那の出来事だった
「志穂ッ!!!」
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