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27幕 ページ28
「あそこでござろう?今日の座敷は」
彼の背中に物思っていた志穂は、急にくるりと振り返った剣心にどきりとした
あわやぶつかる寸前で足を止め、彼の言う先を目を細めて見る
「うん」
「拙者は帯刀だから、この辺で引き返すよ。帰りもまた来るから」
懐から手を出して、剣心は刀の柄をぽんと叩いた
「ありがとう、剣心」
所々剥がれた漆塗りの彼の刀の鞘が、未だ途切れることなく流れてくる灯篭の灯りにつやつやと光る
その美しさに目を奪われながらも、志穂は去って行こうとする剣心を呼び止めた
「剣とは技であり術である…」
「うん…?」
ふいの彼女の言葉に、剣心は首を傾げて足を止める
そして振り返ったその先に優しく微笑んで立つ志穂と、瞳がぶつかった
「しかるにその技と術とを極むれば、その先は道となる」
「……」
「神谷活心流て、私は好きやな」
心に明かりを灯すように笑った志穂を見て、剣心も穏やかに頷いた
「拙者もそうなって欲しいでござる。そんな日がくれば誰も、剣を持つことに苦しまずにすむ」
「…うん」
向かい合った二人はまたにこりと笑い、手を振って別れた
「行ってらっしゃい志穂」
「うん。行ってきます剣心」
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