11幕 ページ12
「政府を正し…再び日本に攘夷を掲げる同志は一人でも多い方がよい」
男は傍に立て掛けられていた刀を担ぐと
剣心の元へと静かに歩み寄った
「回天党は士族であれば誰でも歓迎する
この明治に刀を持ち歩くなんざ、まともな生き様の出来ない没落士族に違い無い…ここに居る者も皆、明治維新に役職を追われた者ばかり」
そして周りの部下達をひとしきり見渡すと剣心に向かい手を差し伸べた
「わかるだろう。お前も俺達も似た者同士、仲良くしようじゃないか」
だが剣心は、その差し出され手をじっと半目に見据えると冷たい声で言った
「一緒に、するなよ」
その一転した雰囲気に志穂は顔を上げ、目を凝らし彼を見つめる
志穂にとっては初めて見る鋭い眼光に、はっとその雷名が頭を過った
(ヒトキリ、バットウサイ…?)
そして剣心は大勢の男達を見据えたまま
静かに言葉を返した
「攘夷だ壮士だ、大看板掲げても
お前らのやってる事はただの誘拐。
しかも年端のいかない女子一人に、
こんな頭数集めて、情けない」
いつもとはまるで違う雰囲気に低い声
一歩一歩近付いてくる度にその迫力は増し、それまで息巻いていた男達も思わず息を呑む
「大体にして、時代に乗り遅れた者の成功者への逆恨みなんて浅ましい事この上ない…」
「や、野郎‥!」
言いたいように言われ頭に血が昇り始めた男達は、構えた武器を握り締める
しかし剣心は臆する事なく言い放った
「回天党?偉そうに…
名乗るなら悪党と名乗りな」
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