第佰弐拾参譚 『 』 ページ47
時透「おじゃましまーす」
『え、時透さん? どうしてここに?』
音、霞、恋、雪の稽古は、もうほとんど隊士たちがいなくなっていた。
たぶん今頃、蛇、風、岩の訓練で苦戦してるんだろうなぁ、と思ってのんびりしていた。
そうしたら、これだ。
時透さんは縁側に座っていたわたしを見つけると、俊敏な動きでとなりに座る。
なんか、すごくニコニコしてるよ。怖い怖い。
時透「暇になったから、遊びに来ちゃった」
『はぁ・・・・・・。お茶入れるので、お茶だけ飲んだら帰ってください』
そう言って立ち上がろうとすると、ぎゅっと手首を掴まれた。
時透「お茶なんていいよ。僕はAとお話したくて来たから」
『・・・・・・』
このひとは、わたしを壊すのが上手すぎる。
時透さんは手を握りしめたまま、ニコニコとわたしを見る。
わたしはというと・・・・・・・・・・・・、
時透「あれ。振りほどかないの?」
『っ』
時透「かーわい」
振りほどけない。
軽く手を振れば、簡単にほどけるくらい、優しく握られているのに。
動け、わたしの手。
俯いたまま、硬直する。
時透さんはしばらくじーっと見ていた。
けど。
・
突然、視界がぐるりと回転した。
・
『っ』
時透「顔真っ赤じゃん」
ドサリ、と音がする。
背中の感触。目の前いっぱいに広がる、整った顔立ち。
まつげすら触れてしまいそうな距離。
いきなり心臓が暴れ出した。
時透「Aってさあ、僕のこと好きでしょ」
右手が、わたしの頬を優しく撫でる。
びくっ、と思わず反応してしまった自分を恨む。
撫でられたところが熱い。撫でられたところだけじゃない、全身が熱い。
手を繋いだままの左手が、指をからめるような繋ぎ方に変わる。
その行為だけで、恥ずかしくてたまらなくなる。
時透「好き?」
『嫌いです!!!!』
時透「噓つき」
まつげすら触れてしまいそうな距離で、思考すら奪われる感覚。
ぐっとさらに顔が近づいた。
探り当てるような、浅葱色の瞳。
時透「A――――――――――――」
甘く優しい声に、思わず息をつめた。
・
・
鈴「緊急招令――――――! 産屋敷邸襲撃!!!!」
・
・
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楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» そうなんです〜。正直、自分でも初作品なわけで、終わるっていう実感はあまり湧かないんですけど、4部作も書いてたわけで夢主に愛着も沸いていて、完結したら寂しい気持ちがぐっとくると思いますね……。はい!終わってもぜひ仲良くしましょうね! (2021年5月31日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - そうなんですか〜少し寂しいですね... 終わっても仲良くしてもらえますか... (^○^/)? (2021年5月31日 19時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» いーや、まだ終わりませんよぉ……!6月6日日曜日に完結予定ですので、それまでお待ちください!今のところ夢主は無一郎と会っていませんね。無限城が会ったのは最後です。 (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» はい、頑張ります! (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - 最終話ヤバイ!むっちゃ泣ける!!あの、聞きたいことがあるんですが... 夢主が死んだ後は、無一郎と会ったのですか?? (2021年5月30日 13時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年2月20日 22時