第佰拾陸譚 ページ40
甘露寺「その時は、炭治郎くんや禰豆子ちゃんや、玄弥くんや他の皆も誘って、
鉄穴森さんや鉄珍様も、またみんなで美味しいものを食べようね」
甘露寺さんがニコニコと微笑みながらそう言った。
甘露寺さんらしい発想だった。
『後はそうですね。我妻くんとか嘴平くんとか、栗花落さん・・・・・・。
もう、柱の皆さん全員呼んで、お花見とかどうですか? きっと楽しいですよ』
時透「――――――そうだね」
ここにいる全員が、きっと驚いたことだろう。
少女の浮かべる愛しむような優しい笑顔と、少年の穏やかな控えめな微笑みに。
いつ叶うかもわからない約束。
不確かで、なんの保証も確証もない。
苛烈を極める鬼との戦いでは、まるで硝子のように儚く脆い約束だろう。
――――――――――――それでも。
その約束はまるで、陽だまりの様に、心をゆっくりと溶かしていく。
小鉄「きっとだよ、時透さん。約束だよ、Aさん」
小鉄くんはわたしたちに、ずっと手を振ってくれた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ーーーーーー
岩柱「時透? 雪城? 大丈夫か」
岩柱様の案ずるような声に、まっすぐ正面に視線を映す。
時透「大丈夫です」
きっとそれは、今聞かれたことに対してだけじゃない。
時透さんは光の宿った浅葱色の瞳で、まっすぐに光のない瞳を射抜いた。
時透「僕はもう空っぽの無一郎なんかじゃない」
『ありのままの、かけがえのないAです』
共に闘う友達が、仲間がいる。
命をかけて守るに足る主がいる。
数え切れないほどたくさんの、星の様に輝かしい思い出がある。
もうわたしは、記憶が戻る前の透明な自分じゃない。
もうわたしは、不甲斐ない姉だと思って限界を決めている有限の自分じゃない。
わたしは、たくさんの人に助けられて、救われて、ここにいる。
時透・A「ありがとうございます、悲鳴嶋さん/岩柱様」
岩柱様「我ながら無粋な心配をした。忘れてくれ。次の柱合会議まで、息災でな」
岩柱様にふたりでお礼を告げて、あずまやを出て、時透さんと別れる。
時透「またね」
『はい、また』
また言えるようになった、「またね」という言葉で。
群青色の空は、目に染みるように青かった。
『・・・・・・ありがとう』
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楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» そうなんです〜。正直、自分でも初作品なわけで、終わるっていう実感はあまり湧かないんですけど、4部作も書いてたわけで夢主に愛着も沸いていて、完結したら寂しい気持ちがぐっとくると思いますね……。はい!終わってもぜひ仲良くしましょうね! (2021年5月31日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - そうなんですか〜少し寂しいですね... 終わっても仲良くしてもらえますか... (^○^/)? (2021年5月31日 19時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» いーや、まだ終わりませんよぉ……!6月6日日曜日に完結予定ですので、それまでお待ちください!今のところ夢主は無一郎と会っていませんね。無限城が会ったのは最後です。 (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» はい、頑張ります! (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - 最終話ヤバイ!むっちゃ泣ける!!あの、聞きたいことがあるんですが... 夢主が死んだ後は、無一郎と会ったのですか?? (2021年5月30日 13時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年2月20日 22時