霞柱は雪柱に振り向いてもらいたい３【時透無一郎】

第佰拾参譚 ページ37

甘露寺「あー、小鉄くんだわ！ やっと見つかったぁ〜！」




　作り終わってしばらく三人で歩いていると、甘露寺さんが明るい声を上げて走り出した。

　その方向を見れば、時透さんと、お面を付けた１０歳くらいの男の子の姿。

　あわてて甘露寺さんを追いかけた。


？「兵糧？」


時透「甘露寺さんに、A！ どうしてここにいるの？」


　吃驚して目を丸くする男のこと、不思議そうに首をかしげる時透さん。


甘露寺「ほら、わたし力持ちでしょ？ だからお引っ越しを手伝おうと思って！

　 でもほとんど作業も終わっちゃってて。そうしたら、鉄穴森さんに会って」


時透「それで、『やっぱり』？」


鉄穴森「ええ。小鉄少年がか代々家に伝わるからくりを治せず困っていて、

　 たぶんそこに時透殿もいると、お伝えしたんです」


『わたしも甘露寺さんに会って、差し入れを持っていくって言うから手伝ったんです』


　大量のおにぎりの隣に、やかんを置いて、湯呑に高級ぎょくろを注ぐ。




『えっと。あなたが小鉄くんですね。はじめまして、雪城Aです』


時透「Aは、僕と恋仲だから」


小鉄「あっ、あの、めちゃくちゃ優しいけど、ほんとは毒舌というあの！！」


『・・・・・・甘露寺さん、何か吹きこみました？？』


甘露寺「えっ、な、何も言ってないわよ！！」


時透「ちょっと。無視しないでよ」




　少し黒い笑顔で甘露寺さんに微笑むと、面白いくらいに変な顔になった。

　・・・・・・時透さんは無視だ。うん。


『これ、高級ぎょくろなんですって』


甘露寺「お米もほとんど運び終わって、ちょっぴりしか作れなかったけれど、

　 たっぷりお塩を聞かせたし、美味しい梅干しもあるのよ」


小鉄「ちょっぴり(・・・・・)・・・・・・？」


時透「甘露寺さんにとっては、ちょっぴりなんだよ」





　☁・・❀・・☃・・☽




　大正コソコソウワサ話！


　差し入れが作り終わった後−−−−−−。




『わたしがやかん持っていきます』


鉄穴森「いや、わたしがやかんを持ちますので、雪城様は湯呑を」


『いえ、これでもわたしは鬼殺隊の柱です！ 持てます！』


鉄穴森「わたしも刀鍛冶です！ わたしが持ちます！」


甘露寺「え、えーっと・・・・・・(汗)」




　やかんをどっちが持っていくか口論になったらしい。

　結局鉄穴森が折れて、Aがやかん、鉄穴森が湯吞を持つことに。

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