第佰拾壱譚 明日の約束 ページ35
凜としながらも儚げな声が、異国の言葉のように耳を素通りしていく。
二十五歳。
長いのか短いのか、わからない数字。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−妹は、十三歳で死んだ。
・
?「ーー少し、いいか」
柱合会議も終わり、胡蝶さんと一緒に帰る気にもなれず、ぼんやりと歩いていた。
背後から聞こえたのは、低く静かな声音。
『岩柱様・・・・・・?』
そう言いながら振り返る。やはりいたのは岩柱様だった。
その隣には、時透さんもいる。
岩柱「お前とも、話がしたくてな・・・・・・」
そう言うと、どこかつらそうに目を細めた。
『わたし、とですか?』
岩柱「ああ。よければ、どこか腰掛けられるところで話そう」
まあ、どこかで話したいとは思っていたから好都合だけど。
一体、何を話すのだろう?
チラリと時透さんを見ると、彼も「さあ?」と言う風に首を傾げた。
促されるままあずまやに行き、岩柱様と対面する形で座る。
風が吹くと木々の枝葉が揺れて、耳をすませば小鳥の鳴き声が聞こえてくる。
時透「話すって、何をですか?」
岩柱「先ほど、あまね様が仰られたことについてだ」
『・・・・・・痣のことですか? 二十五歳までしか生きられないって』
岩柱「そうだ」
わたしの言葉に、岩柱様が頷く。
時透「肉体の強化が凄まじかったから、きっと真っ当なものではないんでしょうね」
『もしかすると、痣は己の命を前借りするものなのかもしれませんね』
この痣がなければ、毒ですでにやられてしまっていた可能性が高い。
この痣を発現すれば、上弦とも対等に戦うことができる。
時透「悲鳴嶋さんは・・・・・・」
岩柱「わたしのことはいい」
『ですが、』
岩柱「いいんだ」
わたしたちの言葉を遮るようにそう言った。
確か岩柱様の年齢は二十七。痣を発現すればどうなるか。
岩柱「もとより、死を覚悟している身だ・・・・・・。だが・・・・・・。
お前たちは・・・・・・まだ、十四だろう」
言いようのない悲しみが、その声音から感じられた。
岩柱「時透、雪城。柱としてのお前たちを侮辱するつもりはない。
ただ・・・・・・大丈夫なのか。お前たちは。
もう先の戦いで痣が出ている。選ぶことはできない」
風が吹いて、木々の葉が一枚散った。
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楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» そうなんです〜。正直、自分でも初作品なわけで、終わるっていう実感はあまり湧かないんですけど、4部作も書いてたわけで夢主に愛着も沸いていて、完結したら寂しい気持ちがぐっとくると思いますね……。はい!終わってもぜひ仲良くしましょうね! (2021年5月31日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - そうなんですか〜少し寂しいですね... 終わっても仲良くしてもらえますか... (^○^/)? (2021年5月31日 19時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» いーや、まだ終わりませんよぉ……!6月6日日曜日に完結予定ですので、それまでお待ちください!今のところ夢主は無一郎と会っていませんね。無限城が会ったのは最後です。 (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» はい、頑張ります! (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - 最終話ヤバイ!むっちゃ泣ける!!あの、聞きたいことがあるんですが... 夢主が死んだ後は、無一郎と会ったのですか?? (2021年5月30日 13時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年2月20日 22時