第佰捌譚 ページ32
−−−−−−−−−−−−うん、知ってる。
痛いくらいに、知ってるよ。
時透「たぶん、一目惚れだったんだよね。Aの名前は忘れなかったし」
やめて。
わからないの、わたし。
時透「でもね、今はただそれだけじゃない。Aの全部が好きなの。
『大好き』じゃ足りない。なんていうんだろうね、言葉で」
そんなこと、言わないで。
やめて、やめてよ。こんなの知らない。
時透「A」
そんな優しい顔で、優しい声で、優しく顔を包み込まないで。
折角、決心したから。
この感情が何かなんて、知りたくない。
『わ、わたし、まだ用事の途中でした!』
結果。
思わずベッドから飛び降りて、ひたすらにペコペコ頭を下げる。
『元気そうなので、もういいですね。胡蝶さん呼んできます』
時透さんの顔も見ずに、部屋を飛び出してしまった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『・・・・・・はあ』
勢いのまま爆走して、気づけば縁側。
・・・・・・これ、見つかったら胡蝶さんに叱られるなぁ。
「まだ安静にしておかないといけないんですよ?」とかって黒い笑みを浮かべながら。
縁側にちょこんと座って、外で戯れる蝶を眺める。
やめてよ、やめてよ。
この感情、言葉で教えてよ。
わたしには、全部わからない。
痛いよ、痛いよ。
こんな感情、知らないよ。
−−−−−−−−−−−−否、知りたくなかった。
甘露寺さんに相談すれば、わかるのかな。
いや、本当はだいたいわかっている。確認がしたいだけ。
でも、もし本当にそうなら−−−−−−−−−−−−。
『もう、わからない・・・・・・』
わたしってこんなに、ちょっとのことでへこんだり悩んだっけ。
わからない。
それもわからないくらいに、時透さんによって変わった。
もちろん、時透さんだけじゃないけれど。
こんなに振り回されるなんて、少し前のわたしなら想像できなかった。
というか、あのままいたら・・・・・・。
『ああああああああああ・・・・・・』
胡蝶「・・・・・・あら、A。こんなところで、何をしているんですか?」
・・・・・・・・・・・・あ。
顔を上げると、ニコニコと黒い笑顔を浮かべた胡蝶さんが。
・・・・・・・・・・・・終わった。
291人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» そうなんです〜。正直、自分でも初作品なわけで、終わるっていう実感はあまり湧かないんですけど、4部作も書いてたわけで夢主に愛着も沸いていて、完結したら寂しい気持ちがぐっとくると思いますね……。はい!終わってもぜひ仲良くしましょうね! (2021年5月31日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - そうなんですか〜少し寂しいですね... 終わっても仲良くしてもらえますか... (^○^/)? (2021年5月31日 19時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» いーや、まだ終わりませんよぉ……!6月6日日曜日に完結予定ですので、それまでお待ちください!今のところ夢主は無一郎と会っていませんね。無限城が会ったのは最後です。 (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むいゆう大好きです!!!さん» はい、頑張ります! (2021年5月30日 13時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
むいゆう大好きです!!! - 最終話ヤバイ!むっちゃ泣ける!!あの、聞きたいことがあるんですが... 夢主が死んだ後は、無一郎と会ったのですか?? (2021年5月30日 13時) (レス) id: 7da351b259 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年2月20日 22時