霞柱は雪柱に振り向いてもらいたい３【時透無一郎】

第九拾肆譚 ページ18

自分の日輪刀は、今彫ってもらっている最中だ。

　でもって、柚音の日輪刀は今探してもらっている。








　これ、だいぶまずいのでは？








　さらに冷や汗が噴き出て、手が小さく震える。

　だいぶ、どころではない。かなり、ううん。絶対まずい。


椛「あれ？ 日輪刀持ってないの？ おねーさん、柱だよね？」


　−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−勘付かれた！！


椛「あー、じゃあ案外早く終わるなぁ。つまんなーい」


　辺りを見渡すと、鈴はいなかった。

　鈴は優秀だから、もしかして鉄珍様に伝えに言ったのかもしれない。

　うん、その可能性に縋るしかない。

　じゃあ、それまで、なんとか剣なしで耐えないと・・・・・・！









椛「血鬼術−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−朝鮮朝顔！」








　いくつもの斬撃が、わたしを包み込むように闇夜に走る。








『・・・・・・っ！』








　無理だ。栗花落さんみたいに目のよくないわたしが、よけられるわけがない。

　あわてて後ろに飛び跳ねたが、ひとつの斬撃が腕に当たる。


『いっ・・・・・・だッッッ！！』


　鮮血が噴き出て、思わず腕を抑えて、顔を歪めた。

　痛い。泣きそうになる。こんなに痛い怪我をしたのは、無限列車以降だ。

　隊服が破けている。当たり前だ、上弦だから。いつもの雑魚じゃない。


椛「攻撃を受けちゃったね？ この朝鮮朝顔の毒は、幻覚。

　 すぐに幻覚が起こって、視界が定まらなくなり、くらくらする」


『っ・・・・・・この！』




　バチン！


　視界が揺らいで、ぼんやりした頭を叩いて、正気に戻す。ショック療法だ。

　まずいまずいまずい。

　怪我なら薬でどうにかできるが、毒を解毒するのは・・・・・・。

　しかも、こんな毒経験したことがない。

　霞がかった頭をブンブンと振って、攻撃を見極めようと目を細める。

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