死が2人を分つから (ページ21)

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19話ページ21

　
　
　
嵐が過ぎ去り、元の穏やかさを取り戻した森はとても静かで
　
　
　
あの古屋に行っても彼女も動物達もいなかった
　
　

　
また、振り出しに戻ったのかと一瞬だけ思ったのだがそんな事はなく
　
　
　
　
　
　
　
『ん〜バッ‼︎おはよう！いつも同じ時間だからそろそろだと思ってたよ』
　
　
　
　
　
　
白竜「…普通に出てきてくれないか？」
　
　
　
　
　
　
　
驚きを押し殺してでた声はなんとか冷静なものだった
　
　
　
　
　
　
しかし、彼女はこの反応がお気に召さなかったようで少しだけ目をまん丸に瞬いたのち口をへの字に結んだ
　
　
　
　
　
『かわいくない』
　
　

　
木の上からピョンとおりた
　
　
　
そう、彼女は鉄棒の技でいう《こうもり》のように足だけを木の枝に引っかけて両手をぶらんと下げて俺がその木の横を通る瞬間にそうやって姿を見せた
　
　
　
　
俺を驚かしたかったのだろう事は簡単にわかる、しかし俺にもプライドというものがある

　
　
　
白竜「かわいいと思われても困る」
　
　
　
　
　
　
『えぇ〜⁈』
　
　
　
　
　
その日から森に行けば彼女はすぐに出てきてくれるようになった
　
　
　
　
　
俺から会いに行っているのに、いつも彼女から話しを始める
　
　
　
　
　
あのヤギの話だったり、森の話だったり、俺が遺跡に興味を示せばそれらについて丁寧に教えてくれた
　
　
　
　
　
だんだんお互い慣れてくると自分についても話す様になった
　
　
　
　
　
この島には彼女の幼馴染もいるそうで
　
　
　
　
　
『多分、そのうち施設の中で会うんじゃないかな？』
　
　
　
　
と言った数日後にはシュウという褐色の肌の少年が教官から紹介された
　
　
しかし会ったのはそれ一度きりで
　
少年が同じ訓練を受けている場面を見たことはなかったが施設の中でここでのトップのチームと対にあたる別のチームが隔離されて作られているのだという噂が流れなんとなく納得した
　
　
　
　

　
それからも数日に一度のペースで森にいき彼女と話す習慣は続いた