番外編 ページ30
綺麗なお姫様をみて最初に沸いた感情は怒りだった
汚いことも辛い思いも知らなそうな
御伽噺の住人に
生きる世界が全く違う人間に
神様の不平等さに
怒りと嫉妬以外の感情は全く無かった
そこからはあっという間だった
当たり前に無視をして
聞こえるように悪口を言って
みんながやっているからと
罪悪感も全く感じず
俺は平気で貴女を傷つけ続けた
後悔しか残らなかった
そんな俺だから
自業自得の当たり前だった
お互い過ごした時間が誰よりも長くても
貴女は自分から俺を頼ることもなかった
俺が貴女の盾になろうとする事も許してはくれなかった
"あの時"が最初で最後だった
_「どうしようっ、私っ私…」
_「"また"…‼︎」
俺が唯一神様からもらった贈り物はこの為なんだと思う
『俺がアンタの記憶になるっ！俺は絶対に忘れないから、側にいる限りアンタの代わりに全部、全部ずっと憶えてる』
その時から
俺は貴女の記録係になった
貴女の大切な時間を辛い時間を綺麗な時間を
貴女の為に"憶えて"
憶えて憶えて憶えて憶えて
何度も絶望を繰り返す貴女の傷を少しでも和らげる為に
俺は"全てを記憶し"続ける
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作者名：KASUMI | 作成日時：2021年8月24日 21時
