6話 ページ36
『行かないのはいいけど、くっそ暇だなこれ。』
あの後からほんとに部活行ってないルナちゃんです。暇です。通知怖いです。
１時間で有人から一定の間隔で連絡くる。無視してるけど、そろそろ怒られるかな。
｢もう怒られるだろ。｣
『！？』
｢よぉ。｣
『不動、明王』
何でこいつがここに？
ストーカー？
｢ちげーよ？｣
『じゃあ、なんでここにいるの。』
｢お前に用があるんだよ。お姫様よぉ。｣
お姫様？
『なんの事？』
｢(覚えてないんだったな…)帝国での寵愛っぷりが凄いんだってな？聞いたぜ。｣
『それがどうかした？』
｢いや？あいつらも憐れなもんだと思ってなｧ？自分のことを覚えていないやつをこんなにも大切にするなんて理解できねーな。喰っちまえばいいものを。｣
『っ！？』
一瞬空気が変わった。
体の芯から冷えるような冷たさが身を包みすぐに消えてしまった。
『貴方は、何者なの。皆して何を覚えてないって言うの？』
｢…すぐ分かる。俺も連中を敵に回すのは厄介なんでね。｣
『連中…？』
｢何れ後悔することになる。もっと早くに自分の事を知っていればよかった、とな。｣
そう言い残して、彼は消えてしまった。
ガサガサｯ
｢ここにいたのか。｣
『有人。』
捜したぞ、と私の隣で歩いてくる。
『ごめんごめん。頭冷やしてた』
｢2日もか？｣
『だからごめんって。許してよ』
ゴーグル越しでも怒っているのが伝わってきてしまう。
｢はぁ…まぁいい。それより、練習に出てくれ。円堂が大変なんだ。｣
円堂？あ、風丸のことか。
『なに、円堂どうかしたの？』
｢実はな、｣
そう言って今までのことを教えてくれた。ほぼ予想通りだけど、栗松の事は予想外だな。
なんだ、案外脆いんだな。…あれ？
何でこんなこと考えてるわけ？どうでもいいでしょ。他のチームのことなんだから。
『よく分からないな。』
｢それは、チームの事か？それとも、お前自身のことか？｣
『声に出てた？』
｢バッチリな。｣
『あー…忘れて。』
恥ずかしっ
｢善処する。｣
忘れないってことですか！そうですか！鬼！！
『立向居君だっけ？彼に協力してもらいなよ。』
｢立向居？｣
そう。
『後は頑張って自分たちで何とかしてねー。私ここにいるから。』
まだみんなの顔を見たくない。
じゃあ、
『少しの間、おやすみなさい』
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作者名：りぃん | 作成日時：2017年4月1日 1時
