4話 ページ34
あの後、立向居が呼んでくれた救急車で吹雪は病院に運ばれた。
私達はその病室にいる。
｢吹雪…｣
｢カントクは、何か知ってるんじゃないですか？｣
｢！！｣
皆が監督に注目する中、全てをはなした。今まで彼の身に起きた事を一つも隠さずに全て。
その内容は円堂たちが想像していたよりも壮大で、残酷だった。だからこそ、反感を買ってしまったのだろう
｢なんで、なんでわかっていながら吹雪くんをチームに誘ったんですか！？｣
｢秋、｣
｢そこまでわかっていたならいつかこうなる事も分かってたんじゃないんですか！？そこまでしてエイリア学園に勝たなきゃいけないんですか！？｣
｢辞めろ、秋。｣
｢！！…それが、私の使命です。｣
そう言ってこの場を去った。
どんなに否定されようと、拒絶されようとこの監督は意思を曲げたことがない。それにはきっと大きな理由があって、この人にも譲れないものがあるのは分かった。
｢俺がもっと早く気がついていれば…！｣
｢やめろ、円堂。俺達がどれだけ悔やんでも結果は変わらない。｣
｢ルナさん、貴方もこの事知っていたんじゃない？｣
ここで私に振られるとは思わなかった。
『知ってたよ。イプシロンと戦う前から。』
｢なら！｣
『そん何怒らないでよ。』
皆して怖い目を向けないで。
その、どこか異物を見るような目は嫌いなんだ
『これでも反省してるんだ。でもさ、彼が望んで闘ってるのにやめろ、なんて言ったらそれこそ自分を追い詰めてたんじゃない？』
｢それは、そうかもしれないけど…！｣
『まだ何かあるの？何、気がつくのがおそかかった自分たちは悪いけど、知ってて何もしなかったやつの方が悪いですって？』
｢そんな事言ってないだろ！｣
『目が語ってるんだよ！何奴も此奴も士郎1人に頼ってたのがまだ分からないの！？無意識にアツヤの力に頼ってた事がどれだけ士郎を追い詰めてたと思ってんだよ！！』
止められなかった。
｢やめろルナ。｣
『チッ』
何故か、有人に言われると止めなければと思ってしまう自分がいる。
『ごめんね、士郎。私はまた、見てるだけだったね…。』
｢ルナ…｣
『ごめん士郎、アツヤ…』
いつも助けてくれたのにね、
だから、忌み子…なのか。
『ははっ、なんだ、そういう事か。』
｢ルナ？どうしたんだよ。｣
『自分の事、追い詰めてるのはそいつだけじゃないよ。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぃん | 作成日時：2017年4月1日 1時
