3話 ページ33
その試合は一方的なものだった
相手の選手のスピードに翻弄され、心が折られていく
｢速い！｣
｢ふん、｣
スグにヒロトへボールが渡ってしまう
｢行くよ…流星ブレード！！｣
｢マジン･ザ･バンド！！…うわぁ！！｣
｢入っちゃった…｣
え、何そのこれだけで入っちゃうの？みたいな顔
『腹立つなぁ…』
雷門ボールでの試合再開
｢っ！｣
吹雪が1人相手陣内へ攻め込んでいく
『士郎！？流石にひとりじゃ…！』
｢はあっ｣
｢なっ…｣
『舐めるなよっ！』
｢っ！凄いや…｣
｢あの女、強い！｣
当たり前だコラ
『その首、差し出せよ…歌仙兼定！！』
｢…！！！！っ、ふぅ｣
｢なっ！？｣
鬼道くん、そんな驚かないでよ。
ふぅって言ったしあのチビ。まぁ、技使わずに止められるなんて思わなかったけど。
『次は本気で潰してやるよ…』
｢ははっ、そう来なくちゃ。君の本気はその程度じゃないよね？｣
『うざ』
｢えっ｣
おっと、声に出てたか。
ふざけてる場合じゃないね。本気でやばいかも
だって、
｢強い、強すぎる…。｣
心がすでに折れてるのが1人
｢…｣
｢グラン、もういいだろ？｣
｢そうだね、流星ブレード！｣
その時、私の横をすごい速さで何かが走り去った
｢う、わあああああああ！！！！｣
それが誰なのか考えなくてもわかる
『まって、士郎！やめて！！！！』
｢吹雪いいいいいいいい！！｣
円堂の声も虚しく、自らボールに向かっていった士郎は力なくその場に倒れた。
｢吹雪、吹雪！｣
『…なに、して。』
あれ？
『気にしてるの？』
｢…違、う｣
根は優しい人なの？
｢じゃあ、またね。｣
｢あっ、｣
圧倒的な力の前ではどれだけ無力なのか、痛いほどに思い知らされた。何が天才だ、聞いて呆れる。なにが、頼れだ。止められなかったくせに。吹雪に近寄る仲間達の後ろでわたしは見ている事しか出来なかった。
その姿が誰かと重なったのか、それとも吹雪が私にとって大切な存在になりかけていたからなのか。理由は曖昧だけれど。
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作者名：りぃん | 作成日時：2017年4月1日 1時
