5話 ページ15
時は遡りハーフタイムの帝国ベンチでは…
｢おいおい、もうへばったのかよ｣
｢問題ない。後半も皇帝ペンギン1号で点をとる。｣
｢ビーストファングでどんなシュートも止める。そして｣
｢｢必ず勝つ！！｣｣
二人の目に宿るのは戦意などではなく復讐心、そして嫉妬だった。
『や、…私、ひと…』
｢！魘されてるのか？｣
｢どんな夢を見てるんだろうな…。｣
それでも少女への想いは変わらない。
｢お前ら…過保護かよ。｣
｢｢悪いか｣｣
過保護にもなるだろうと当たり前のように呟く2人を呆れた目で見ていた不動だった。
(悪いな、それでも俺は負けられないんだ。)
洗脳されてもルナを思う心を持ったまま時間は過ぎていく。そして、後半が始まった。
｢君たちの態度でわかったよ。あの子が探し求めてた子でしょ？｣
｢気づいていながら手を出さなかった事は褒めてやる、今はどうでもいいけどな！｣
｢ぐっ、独り占めは良くないよ。｣
周りからすれば意味のわからない会話だろう
｢独り占め？初めに見つけたのは俺たちだ！｣
｢堕ちたね、君も。はあっ！！｣
｢ちっ｣
｢染岡くん！｣
吹雪から染岡へボールがわたり、
｢いくぜ！｣
｢打たせろ！シュートは源田が止める。｣
｢なっ…くそ、どうする？｣
ここで打てば源田はあの技を使ってしまう。しかし、打たなければ試合には勝てない。前半1点勝ち越しされてしまった雷門にはもうあとが無い。
｢！！よしっ｣
そこで何かに気がついた染岡。ワイバーンクラッシュを放った。
｢ワイバーンクラッシュ！！｣
｢なっ！？｣
｢エターナルブリザード。｣
｢ビースト…｣
誰もが二発目を覚悟した時
『止めて！！！！』
声が響いた。
｢！？｣
誰も、影山さえも想像していなかった出来事だった。
｢ルナ…。｣
｢はぁ、はぁ…。止めて、その技は使わないって言ったじゃん。｣
｢黙れ。｣
『黙らない！』
試合前とは打って変わった強い意志を宿した瞳をしていた
『カントク、交代をお願いします。私を試合に出してください。』
｢選手交代！19番九龍ルナが入ります！｣
｢ルナさん…。｣
『大丈夫、そんな顔しないで春奈。私強いから』
そこに居たのは雷門のルナであり、王者帝国としての志を宿したルナだった。
『さぁ、やろうか。』
圧倒的な存在感を持ってコートに戻った“戦乙女”の復活の予兆であった。
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作者名：りぃん | 作成日時：2017年4月1日 1時
