四四、 ページ45
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『抱きしめて欲しい』
言ってしまった、
何言ってんだ私。
『ごめん、流石に調子乗ったわ。ごめん、忘れて』
『、、、へ、？』
『何してんの、樹』
「何って、抱きしめてる」
『、、、』
「だってA今、抱きしめて欲しいって言ったべ？」
『、、、でも忘れてって言った』
「へー、聞こえなかったわ」
『絶対聞こえてたでしょ』
「聞こえなかった」
『、、、。』
樹は何も言わずにただ私を抱きしめてくれた。
自分の後ろに回った樹の腕は、
折れちゃうんじゃないかって心配になる程細いけど
逞しくて、
暖かくて、
安心した。
黙って抱きしめて背中をさする樹。
久しぶりに人の温かさに直接触れて、
今まで自分でも気が付かないくらい我慢していたものが
一気に溢れ出してくる。
『、、っ。』
堪えようとしても私の意思に逆らって
どんどん溢れてくる涙。
それが、樹の肩を濡らしていく。
それでも樹はただ黙って抱きしめてくれるだけ。
それがとても心地よかった。
しばらくして、私が樹から離れると
「落ち着いた？」
樹は私の頭を撫でながら顔を覗き込んだ。
『、、見んな』
「ふはっ、、笑」
『ありがとう』
「うん」
『だいぶスッキリした』
「それはよかった」
『腹減った』
「だな、」
『なんか頼もう。奢る。』
「いいよ、俺が出す」
『やだ、お礼だから』
「また今度にして、今日は俺が出す気分」
『そんなの知らない』
「はいはい、頼むよ〜」
『だから、』
「いいから、何食うの？」
『、、、ラーメン』
「ふはっ笑 じゃあ俺もラーメン」
『好きなの食べればいいのに』
「俺ラーメン好きよ？」
『そうじゃなくて』
「いいの、よし！これでおっけー」
『あ、部屋汚いごめん。』
「こんなの汚いうちに入んねぇだろ、まさか気になんならラーメン来るまで片付けしようぜ」
『そうする』
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作者名：カ | 作成日時：2023年1月19日 3時
