bubble. (ページ41)

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四○、ページ41

(田中樹)

『消えたいよ、、、』

『ほんとにね、何もないの』

『お仕事も順調だし、なんなら上手くいってるんだよ』

『なのに、、、ねぇ、、、』

Aの声は震えていて、今にも泣きそうで、苦しそうな顔だ

『だからね？樹。』

『私は、大丈夫だよ笑』

なんで無理してまで笑ってんだよ

無理して作り笑いしてんじゃねーよ

ふざけんな

「笑えてねーよお前」

「俺、今のお前すげぇ嫌」

「そんなに強がんなくていいじゃん」

「ずっと自分で自分の首絞めてるよ」

「そんなの苦しいに決まってんだろ」

『樹には、、、、、樹には、

わたしの気持ちは分かんないよ』

入所してから十何年一緒にいるけど、

今まで聞いたことがないくらい低くて、冷たい声

そして、光のない真っ暗な冷めた瞳だった。

『私さ、もう生きてることが辛いんだよね

無駄に命使ってる気がしてさ申し訳なさも感じる。

大好きな家族も友達も先輩だって、後輩だって、樹だって見てくれてるのに

ファンの方だって応援してくれて隣にいてくれてるのに

支えてくれてる人いっぱいいるのに

消えたくて消えたくてしょうがないんだ。

いっそのこと私がもともと存在してなかった事にならないかなって。

泡とかシャボン玉みたいにパンって消えちゃいたいなって

ここ最近ずーっと考えちゃうんだ。

だからね樹。

私の気持ちなんてわからないし、

わかっちゃダメだし、

わかろうとなんてしちゃダメだよ』

そう言ったAは、今にも本当に消えてしまいそうで

儚くて涙を流しながら、

笑ってた。

その顔が最低だけど

めちゃくちゃ綺麗で

愛おしかった。

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