アレスの天秤の実験台 (ページ34)

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「まぁ、いい。帰ろうか。」

『うん。だな。鬼ごっこ楽しいな。』

「そうだね。でも、試合後にするのは止そうよ。」

『そうする。でも悠馬に負けないように逃げるから。隠し事を偽ってね』

「今度の処罰は決めとこうかな」

『させないから』

『あ、最近従うようになったのは悠馬の言う通りに思春期の君になにもされたくない。私も女ですから。それと、大人達に悠馬が怒られたくないから。』

「そうかい。僕は夢香が大人達にやられるのを見たくもないかな。一応女の子だからさ。」

『ある意味優しかったり優しく無かったりどっちなんだよ。でも、悠馬、あなたは唯一の家族と言っても等しい。そんな感じの好きだよ』

「僕も夢香のことは家族だと思っている。だから、失いたくない。それは、理解してほしいかな。」

『大切にしてくれてるのは気づいているよ？だから、茜さんとやっている計画は私も利用していいからね。』

「わかったよ。夢香も被害者の1人だもんね。」

私達はゲートをでて、外へ向かう。

そしたら、灰崎が居た。

「勝者の喜びは味わえたか？野坂！貴様、どこまで腐っている！」

『あの勝利に喜びなんてあると思う…？腐っているのは悠馬じゃない。腐っているのはこの世の中だよ』

「なんだと！」

「知っているかい？世界のどれだけの子供達が孤独な思いをしているか。親も知らない子がいる。親元に居たとしても放置され1人ぼっちで食事をする者もいる。大人達は子供への愛よりも出世のかかった化かし合いにかまけているんだ。その犠牲にかかった子供達はまた同じ道に繰り返す。現代社会は人の心を失った無限ループでできている。だから、変えねばならない」

「それを変えるのがアレスの天秤だって言うのか！」

『……そうだよ。優れた人間は全てを手にできる。富も明聖も。人の心ですらも。』

「しかし、アレスの天秤は多くの犠牲を出している！心を失った者もいる！そんな事がゆるされると思うのかよ！」

『君のいう犠牲者は確実でアレスの天秤が原因だって言えるのかい？確実に証拠もないのに、言ったってこれから優秀な社会を変える人間を生み出すのに諦められる？素晴らしい薬でも必ず副作用があるのと同じだよ。それでも、君がアレスを潰したいなら、決定的な証拠を見つけることだね。君にできるかな。灰崎くん』

「てめーら！野坂！逢坂！！」

私らは無視して進む