File.2 再開の事件 ページ8
あれから2日後。
日曜日の朝だ。
傷口はとてもグロテスクだ。
何ならかさぶたになりかけている状態のため、転んだ当初よりも痛そうに見える。
ガーゼで保護したとはいえ、ジーンズだと痛いだろうし、ガーゼが隠れるようにくるぶしまで丈があるロングのスカートにしよう。
簡単にメイクをし終わる頃には10:30になっていた。
待ち合わせは11:00。
少し早いが出発しよう。
靴を履き、家を出て、景色を楽しみながら待ち合わせ場所に行く。
着いた頃には、まだ10:50ぐらいだったと思う。
もう、2人ともいた。
『ごめんね、待たせちゃった。』
「ううん、山本さんと話してたから平気。」
こうちゃんから視線を外し山本さんにぺこりと頭を下げる。
彼はにこりと笑って返してくれた。
あらかっこいい。
すると、
「足、痛めてるんですか?」
突然山本さんに聞かれて驚く。
なぜこの人は気付くんだ…?
『先日…コケてしまいまして…はは、恥ずかしい…』
「へぇ、伊沢さんと一緒じゃん、」
伊沢さん、と言われ、ふと転んだ時のことを思い出す。
あんなに似ているなんてレアだ。
誰かに言いたくてたまらなくなった。
『そう!私がガタイのいい人にぶつかっちゃったんだけどね。クイズ王の人にすっごい似てたの!びっくりしちゃって、』
私がそう言った瞬間、こうちゃんと山本さんが顔を見合わせる。
なんだ…?私そんなにおかしなこと言ったかな。
「こんなこと、あるのかな」
「世界って狭いね、あっはっは!」
2人がケラケラと笑いながら話す。
完全に私置いてけぼりだ。
どういうことなのだろうか
「えーとね、簡単に言うと、その人、伊沢拓司だわ。」
こうちゃんにそう言われて驚く。
ぶつかった人がなんだか似ている〜と思う程度だったから、まさか本人だとは。
あれ?なんで本人ってわかるの?
『なんで分かるの?』
「俺が務めてる会社の社長が伊沢拓司なんだよね。」
「山本さんも、同じところに務めてるんだけど、“QuizKnock”って知らない?」
くいずのっく…?
なんだろう。
私の予想だと山本さんの仕事は記者だ。
雑誌の名前とかかな?
『うーん、ごめんね。分かんない…。』
「そうだよね、知ってたら山本さんの事わかるはずだもん」
ん?そんなに有名な人なの…?
私もしかして今から有名人とお食事しちゃう感じ?
なんか急に怖くなってきたよ?どうしよう…
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作者名:Karen | 作成日時:2020年4月26日 23時