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｢というより涼宮、｣
『はい…？』
先輩に名前を呼ばれ姿勢を正す。
今回ばかりは勤務中にお喋りしようとした私が悪い。
怒られても当然だと思ったからだ。
まあ、今までに先輩に怒られたことはほとんどないのだが。
｢お前、友達いたんだな。｣
『…へ？』
｢いや、涼宮って、正義感が強すぎるからな。正直、浮いてるんじゃないかって心配してたんだよ。｣
なるほど。
確かに私はあまり人に好かれなかった。
中学生の頃、いじめを止めに入ったら、次の日学校に着いたとき、上履きが水浸しにされてたなぁ。
そうやって同性にも異性にも避けられていた時、こうちゃんだけは私と普通に接してくれていた。
単純に嬉しかった。
こんなエピソードがあるくらいだ。浮いていたのは当たっているよ。
｢渡辺、さん？｣
｢あ、は、はい！｣
うわ、なんでこうちゃんに声掛けてんの？
｢学生時代の涼宮はどんな奴だったんだ？｣
なんで聞くの？
先輩って実は超絶性格悪いんじゃ？
『いや、関係なくないですか…？』
｢まあ、もう休憩時間くらいだろ？雑談ってやつだ。｣
そんな事を言い訳に先輩はこうちゃんに聞き込み(?)をし始めてしまった。
もう正直やけくそだ。
ちら、と山本さん？の方を見ると、彼はどうしたらいいか分からずワタワタしていた。
『すいません。先輩、少し変わってて。お時間は大丈夫ですか…？』
｢時間は全然。先輩、頼もしい方ですね。｣
『先程の出来事のこと、少し聞いてもいいですか？』
｢あ、分かりました。｣
そうして私は山本さんにさっきの “こうちゃんカツアゲ事件” について少しだけ聞いた。
こうちゃんが運悪く不良に目をつけられただけのようだ。
私が不良だったらこうちゃんみたいなタイプは狙うかも。なんて思った。
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『先輩、そろそろ、戻りません？渡辺さんや山本さんにご迷惑が…』
あれから10分ほどたった頃だった。
いくらなんでも話し込みすぎだと思い先輩に声をかける。
こうちゃんを苗字呼びってムズムズするな。
｢そうだな。すまん。涼宮の話を聞くのが面白くて｣
そう言って先輩はしゃがんでいた腰をあげる。
“よっこいしょ” とか言って
現役のくせに。
とはいえ、署まで戻らないといけないと考えると身体が辛い。
ぐっと伸びをしていると、
｢あ、待ってAちゃん！連絡先、交換しよ！｣
そう、こうちゃんに声をかけられた。
嬉しかった。
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作者名：Karen | 作成日時：2020年4月26日 23時
