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｢え、本当に大丈夫？山本さんからは元気そうだったって聞いたんだけど。｣
『うん、元気。大丈夫。それよりさ、』
“もう関わるのやめましょう” そう言いたいのに、言いたくない。
この複雑な思いを、誰かわかってくれ。
｢それより、何？｣
間が空いたことに違和感をもったであろうこうちゃんが聞いてくる。
それまで騒がしかった周りも、真剣なこうちゃんに気を遣ったのか、静かになったのが分かる。
『もう、会わないでおこうよ』
私がそう言った途端、こうちゃんは黙り込む。
いつものリアクション芸人みたいな感じで、反応してよ。
無言でいられると泣きそうになっちゃうじゃん。
｢いきなり、なんで？やっぱ、何かあった？｣
静かにそう聞かれると、全て話してしまいそうになる。
この質問には、どう返したら分からない。
すると、こうちゃんの声が電話口から少し離れ、
｢山本さん、A、今日元気だったんすよね？｣
そう聞いているのが聞こえた。
山本さんともその場にいるのか。
耳をすましてみたが、山本さんがなんと答えたのかは聞こえなかった。
元気だった。と言ったと思う。
｢やっぱ、おかしいよ。A、何があったか言って。｣
もう、逃げられないのではないか？
適当な言い訳をしようとも思ったが、今の私にそんなことができるとも思えない。
これは、正直に言って楽になろう。
『口で、上手く言えるかわかんない。』
｢ちゃんと聞くから。あ、山本さんにも聞かせていい？｣
『う、ん』
耳元にガタッと音が聞こえる。
きっとスピーカーにしてスマホを置いたのだろう。
｢Aちゃん、もう、話せる？｣
突然耳にかかる山本さんの優しい声。
こうちゃんの真剣な声で泣きそうになっていたのが、決壊する。
『うっ、ん。えっと、、ね、今日、たい、いん、して。家に、帰ったのっ、』
ぼろぼろと溢れてくる涙を抑えきれるわけもなく、しゃくりあげながら話す。
相当聞きづらいだろうに、彼らはうんうんと聞いてくれた。
そして私は、かなりの時間をかけながら、今日の出来事を全て話した。
｢…ごめんね。Aちゃん、僕達とご飯に行ったから。｣
山本さんにそう言われ、心がズキズキと痛む。
違う、そんなことを言わせたかったわけじゃない。
｢山本がそんなこと言ったって意味無くね？ストーカーはもとからいたわけだし。｣
突然こうちゃんでも山本さんでもない、でも聞き覚えがある声が聞こえる。
あれ、これ、誰だっけ？
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作者名：Karen | 作成日時：2020年4月26日 23時
