File.5 第2の事件 ページ15
あれから数日後。
私は腕にギプスをつけているものの、もう退院が出来るそうだ。
職場にも連絡を入れて、明日からは普通に働く。
働くと言っても、パトロールとかはできないけど。
久しぶりだからか歩くことに違和感を感じつつ家に帰る。
マンションのロビーに入り、ポストを開けると1つの封筒が目につく。
一抹の不安を抱きつつ封筒を手に取り部屋に戻る。
家に入り、封筒を開けると、中から写真が1枚と手紙が1枚出てきた。
写真は前にこうちゃん、山本さんと3人でご飯に行った時のものだった。
盗撮のように見えるが、誰がとったのだろう。
もしかして、こうちゃんと山本さんの熱狂的なファンの方が、私に怒ってる？
そうだとしたら、怖い。
不安になり、肝心の手紙を開く。
“Aちゃんへ
この写真の男は誰？今まで周りに男なんていなかったのに。
Aちゃんの職場の先輩は、既婚者だから許してたんだよ？
こんな奴らとはもう会わないって、約束して？
絶対に僕の方が君を幸せにできるから。”
これ、は。所謂“ストーカー”だろう。
身体が氷のように冷たくなるのを感じた。
ハッとなり、急いで封筒を見る。
封筒には、切手も住所も、なにもない。まっさらな状態だった。
住所は特定されている。
このままじゃ、山本さん達の身に危険が及ぶ可能性がある。
彼らには会わないように連絡をした方がいいのではないか？
そうしようと思うのに、会わない、なんて選択肢を選びたくない我儘な自分もいて。
LINEを入れようと思うのに、スマホに手を伸ばせない。
その瞬間、
ｳﾞｰｳﾞｰ
私のスマホがなる。
この状況で電話？
どうしよう。ストーカーからだろうか。
いや、知り合いの可能性もある。知らない番号なら出なければいい。
そう思い画面を見ると、そこには“こうちゃん”とかかれていた。
なんだ、こうちゃんからか。
安心し通話ボタンを押す。
『もしもし？』
何やら後ろが騒がしい様子だ。
ぎゃーぎゃーとしている。
｢あ、A、大丈夫だった！？｣
『え、何が』
突然大丈夫だったか、と聞かれ、何の事か分からなかった。
冷静に考えたら事故のことかな。
私の心はもうそれどころじゃなくなっていた。
｢何がって、事故、｣
『あ、うん。そうだよね。大丈夫。ありがと。』
心ここに在らず状態だったため、適当な返しをしてしまう。
こうちゃんには、事故で落ち込んでるって思われるかな。
というか、今、もう関わらないでって言うべきかな。
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作者名：Karen | 作成日時：2020年4月26日 23時
