File.0 出会いの事件 ページ2
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ
『はい、こちら○○警察署です。』
『ーー。分かりました。すぐ向かいますね。』
ここ最近、治安が悪い。
治安が悪いと言っても、ものすごく大きな事件が起こるわけでもない。
“不審な人物を見た” “ご近所さんがうるさい”
こんな些細なことだ。
些細とは言っても、不審者がいたら危険だ。
先輩と共に報告を受けた場所に行く。
毎日、身近な小さな事件を解決させるのが、私の仕事だ。
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｢またか。｣
先輩が呆れたように呟く。
『すいません。』
署に連絡を入れる人はだいたい限られている。
特に多いのはおばあさん。
おばあさんから連絡が来て、現場に駆けつけると、
“もういなくなってしまった” とか “顔つきが怖いだけだった” とか。
事件性が全くない。
｢いいかげん、電話かけてこないようにできんもんか？｣
そんなこと言われたって断れるわけがなかろう。
おばあさん自身、事件性がないことなんてきっとわかってる。
目的はきっと、たくさんお話をすること。
私たちに、話し相手になって欲しいんだと思う。
『きっと、おばあさんも、毎日1人で寂しいんだと思います。』
｢まあ、それはあるかもだが｣
『今後は、私ひとりで出向くので…』
先輩はおばあさんの話を聞くのが乗り気ではないみたい。
そりゃそうだ。
おばあさんがする話といえば、孫の話、お料理の話、編み物の話。
男性である先輩には少しつまらないだろう。
｢いや、すまんな、疲れてるもんだから。後輩に愚痴を履くなんて先輩失格だな」
『いえ、大丈夫です。お家でゆっくり休んでください。』
いろいろな話をしながら、先輩と私は警察署までの道のりをあるいていた。
すると、
｢おい！持ってんだろ、金をよお！？｣
｢いや、ほんとに持ってないんすよお、ね、山本さん！｣
｢そうですよ！こうちゃんを離してあげてください…！｣
突然聞こえてきた声に先輩と私は顔を見合わせる。
これは所謂 “カツアゲ” だろう。
被害者側は2人、カツアゲしているのは複数人いる様子だった。
声を荒らげているのは主犯格の1人だろうか。
考えている暇はない。
とにかく、早く声のする場所まで向かわなければ。
そう思い、私たちは走って声のする方向へ向かった。
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作者名：Karen | 作成日時：2020年4月26日 23時
