倒れた彼女 izw ページ1
伊沢さんとAさんは付き合って同棲してます。
side:izw
時計を見るともう21:30だった。
今日は久しぶりに仕事で手こずったし、メンタル持ってかれてるわ。
早く帰ってAに慰めてもらおうか。
家に着いて鍵を開けようとする。
あれ？鍵が空きっぱなしだ。
さすがに夜も遅いから閉めろよな。
｢ただいま〜｣
｢A〜？鍵くらいかけとけ？｣
おかしい。いつものAなら俺が帰ったら飛びついてくるのに。
もう寝てるのか？
｢A？どこにいんの？｣
感じる違和感。
まあ部屋で寝てるんだろうと思い、静かにリビングに入る。
すると寝てると思っていたAが床にぐったりと倒れ込んでいた。
｢うわ、どしたの？A？俺だけど、分かる？｣
『ぅ、あ…ぃざわ、くん？』
｢どーした？体調悪い？｣
『だいじょぶ、だから。ごめ、』
この状況で大丈夫って言うとか逆に何？
おかしいでしょ完全に。
｢ちゃんと答えて。どうしたの？いつから？｣
『ゎかんない、けど、朝から気持ち、悪くって』
俺は朝、多忙なことを言い訳にしてAとろくに会話もしない。
だから気付けなかっただけで、今日1日ずっと我慢してたのか？
｢今日、仕事あったの？｣
『ぇ？う、ん』
｢そっか。そんな体調でよく頑張ったな。気付けなくてごめん。｣
『違っ、伊沢くんの方が、頑張ってる、』
あぁ、本当にAという奴は。
俺は仕事が忙しい。きっと、Aよりも。“仕事は”だが。
Aは俺の知らないところで沢山頑張ってるんだ。
なんで今まで、わかってやれてなかったのだろうか。
｢本当、ごめんな。とりあえず、ベッド行こうか。薬飲んで、ゆっくり寝な。｣
『ごめんね、迷惑、かけて。』
｢全然。Aがいれば、なんでも出来るからさ。｣
そんな決まり文句みたいなことを言った俺は、所謂、お姫様抱っこというやつをして、Aをベッドに運び込み薬を飲ませた。
すると彼女は瞬く間に眠りについた。
明日から、ちゃんとAと会話するようにしないとな。
甘えてばっかじゃ駄目なんだ。
｢A…。愛してるよ。こんな俺でも一緒にいてくれよな。｣
そう呟いて、彼女の薬指にキスを落とした。
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作者名：Karen | 作成日時：2020年4月4日 2時
