【QK】怖がらないで【ymmt】

8.想い ページ25

side:you



朝、目が覚める。今日は山本くんとネタ探しの旅に出るんだ。
ちょっと、可愛い格好していこうかな。
クローゼットから、少し前に買ったワンピースを引っ張り出して着る。
うーん、似合ってない気もする…。
でも、また着替え直すの面倒だし、これでいっか。



今の時間は8:15
時間的猶予はかなりある。
オフィスまでそうかからないけど、朝の光も浴びたいしもう出発するか。



小ぶりのカバンを肩からかけて、家を出る。
鍵を閉めて、少し遠回りをしてオフィスに行ったものの、
オフィスに着いた時間は8:40
ちょっと、はやすぎたな。
ここで待たせてもらおう。


｢あれ？Aちゃんおはよう｣

｢へえ！この子がAちゃんか。｣

｢じゃあ、昨日の山本の動画の…？｣


オフィスに入ると、伊沢さんと、2人の初めましての方がいた。
背の高い声も大きい方と、何やら文豪のような独特な雰囲気をもった方。



｢今日、あれか！山本と〜｣

『あ、はい。早く来すぎちゃったので、待たせてもらってもいいですか？』

｢そりゃもちろん。ついでに2人と挨拶しといて！｣


伊沢さんにそう言われたので、お2人の座っているソファの方を向いて、自己紹介をする。


『はじめまして。新しくライターになりました。小鳥遊Aです。』

｢よろしくな！ナイスガイの須貝です！｣


須貝さん、か。いいな。
この人自分流の挨拶を持ってる。
私もこういうの欲しいなあ。


｢はじめまして。河村拓哉です。｣


河村さん、すごい雰囲気だ。圧倒されるような。
飲み込まれるような感覚になる。


｢そうだ、Aちゃん昨日のサブちゃん見た？｣


突然伊沢さんが声をかけてくる。


『え、いえ、動画、投稿していらっしゃるんですか？』

｢あ、そうだよ。クイズを身近なものにしていくのが目標だから！｣


スマホを近づけてきた伊沢さん。
というかこの人達動画投稿者さんなのか。
だからあんなに撮影器具があるんだ。


｢画面大きい方がいいでしょう。｣


伊沢さんの向けてくれる画面じゃ小さくて見にくいな、と思っていると河村さんはYouTubeを開いた状態のPCをこちらに向けてくれる。
気遣いがすごい。


『あ、ありがとうございます。』


動画を再生してみると、昨日ここにいた4人が話し込んでいる。
動画のタイトルは…
【山本に好きな人がいることが判明しました。】
え？山本くん、好きな人いたんだ。
なんだろう。この複雑な気持ち。

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