【QK】怖がらないで【ymmt】

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講義が終わるとほぼ同時に私は講義室から出る。
今日は雨の予報だった。
傘は持ってきているけど、できることなら使わずに帰りたい。



あ、そういえば彼から消しゴム返してもらってないや。
別に返してもらわなくても大丈夫なんだけど。


｢ねぇ！｣


雲行きが怪しくなってきたなあ、なんてぼーっと考えながら歩く。


｢ねぇ、君！｣

『きゃっ』


突然背後から方を掴まれ、悲鳴をあげてしまった。
怖くなって振り向くとそこには先ほど消しゴムを貸した彼が。


｢あ、ごめんね。さっき消しゴム貸してもらったから返さなきゃって思って。｣


私は貸しただけなのに。
こんな私を追いかけてくれたの…？
馬鹿なんじゃない？
そんな事をぐるぐる考えていると、彼が私の顔を覗き込む。


｢どうしたの？…てか君、歩くの早いね。陸上やってた僕でも息上がっちゃうくらいに、ふふ｣

『あ、、ごめんなさい』


あぁ、私が雨が降るからと早く歩いたから。
彼に迷惑かけちゃった。


｢え〜謝らないでよ…あ、そうだ！お礼と言ってはなんだけど飲み物奢らせてくれない？｣

『ぃや、大丈夫、です。』


なんなんだこの人は。
良心の塊なんだろうな、とは思う。
でも話しかけてこないで欲しい。
私に人と仲良くする権利なんてないんだから。


｢お願い。じゃなきゃ僕の気が済まないの。ね？｣

｢あ、もしかして急いでる？｣


どうしてかはわからない。
断れないと察する。
行っても、大丈夫、だよね。
今日限りで彼と話すことなんて無くなるんだから。


『急いで、ないです。』

｢よし！決まりだね、行こ！｣


そう言って彼は私の私の横に並びスタスタと歩き始めた

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