6.ライター ページ20
「まず、ここはクイズをみんなに広めていこう、っていう会社なの。」
「Aちゃん、論文発表で最優秀賞とってたでしょ」
「こういう場には、文章能力に長けた人が多く欲しいなって話してて。」
「Aちゃんのことちらっと調べたら、外国語コンテストでも賞とってたから。」
なるほど。
確かに私は教授に言われて受けたコンテストで最優秀賞をとったことがある。
でもそれは、猶予があったために、かなり時間をかけていた。
つまり効率の良さを求めるような仕事場には向いていない。
それを私は山本くんに伝えた。
「うーん、ライターさん沢山いるから、そんな急かしたりはしないと思うけど。」
『あと、私。対話能力がないから、嫌がられちゃう』
「でも今僕と普通に話してくれるじゃん。」
『それは、山本くんなら大丈夫だって、分かってるから。』
「みんな大丈夫だよ。僕みたいにいい人ばっか、ふふ」
たしかにここには悪い人はいなさそうだけど。
私に出来るの?そんなこと。
あとバイトはどうしたらいいの?
「バイトはしてても大丈夫だし。こっちは息抜き程度に考えてもらってもいいから。」
『私に、出来ると思う?』
「うん、Aちゃんだったら、できるよ」
私だったら、か。
何だか、認めてもらえてるみたいで嬉しい。
こういう仕事を通して、私も、人と向き合えるようになりたい。
『ねえ、山本くん。』
「どうしたの?」
『私ね、変わりたいの』
『気付いたの。心を閉ざしても何も変わんない。』
『だからまずは、私が変わらなきゃ。』
「うん、大丈夫。Aちゃんなら、大丈夫だよ。」
「やりますって、伊沢さんに伝えに行こう?」
『うん、ありがとう』
そうして私たちは部屋をあとにした。
何だか今なら、大丈夫、頑張れる。そう思えた。
「お、おかえり〜」
「伊沢さん、ちゃんと、伝えておきました。」
「どうだった?やってくれそう?」
「本人から、聞いてあげてください。」
山本くんと伊沢さんが2人で話している。
山本くんが言いやすい流れを作ってくれたのだろう。
いつもみたいに、つっかえない様に、そう、あの時の論文発表みたいに。
ゆっくり、はっきり。
『伊沢、さん。ライターさんにお誘いしていただきありがとうございます。』
『ライターのAです。まだまだ未熟者ですが、これからよろしくお願いします。』
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ゆめ(プロフ) - 初コメ失礼します!お話凄く面白いです!悪女の名前が『さし美』なのが個人的にツボです笑応援してます!頑張ってください! (2020年4月26日 23時) (レス) id: 62ce7395c2 (このIDを非表示/違反報告)
颯羅(プロフ) - この作品の続きみたいです!頑張ってください、応援してます! (2020年4月10日 21時) (レス) id: c3466fa469 (このIDを非表示/違反報告)
鮭大根(プロフ) - 好き。続き読みたいです!!! (2020年4月10日 15時) (レス) id: c882518901 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 初コメ失礼します。個人的にはすごくピュアピュアな2人のこれからを見たいと思うので、付き合ってからの話をみたいなと思います! (2020年4月10日 15時) (レス) id: 25580d8a5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Karen | 作成日時:2020年3月29日 21時