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「よかった、ってなに?」

『え?』

「何もよくないよ。なんであんな所にいたの!?あんな密室、入っちゃダメでしょ!?」


そう声を荒らげる彼を私はすごく怖いと感じた。
自分で入ったわけじゃない。そう言いたかった。
でも、恐怖で口が開かなかった。


「講義だって来ないしさ。おかしいと思ってた。」

「帰りになってもどこにも現れなくて、何やってんだと思ってたら倉庫の前に携帯落ちてるし。」

「一応倉庫覗いたらそこで呑気に寝ててさ?おかしいでしょ。ねえ?」

『ちがっ、』



山本くんが、山本くんじゃないみたいに怖い。
すごく、目頭が熱くなる。
だめ、おさえて、泣いちゃだめ。
泣かずに、ちゃんといわなきゃ。
違うよって。何があったか説明しなきゃ。



『うっ、ひっく…』

「え」


なんで止めようと思えば思うほど涙は出てくるの?
否定しなきゃ。一緒にいられなくなっちゃう気がして、


『なん、で、そんな事、いうの、違う、のに』

『わたしだっ、て。じぶん、から、あんな場所、はいんない、もん』


言えた。言えた。詰まってばかりで聞き取りづらいかもしれない。
けれど、言えた。大丈夫、大丈夫。落ち着いて。


なんで山本くんまで私に怒るの…?
怒るなら私を閉じこめたあの女性に怒ってよ。
でも、もしかしたら私があの女性を傷つけたことがあるのかもしれない。
それ相応の仕返しだったのかもしれない。
でも、それでも、山本くんは、少しぐらい私に説明の時間をくれても良かったじゃん。
何でこんなに上手く行かないの?
もうやだ。なにもかも、疲れるだけだ。
あぁ、頭がふらふらしてきた。視界が薄くなっていく。
この感覚は、分かる。
やばい、私、このままじゃ…


バタン


あ、倒れちゃった。
起きなきゃいけないのに。
意識が朦朧として力が入らない。
山本くんが何か言ってる、また、怒られてるのかな?
聞かなきゃって思うのに、何も聞こえない。
バタバタと音が聞こえる。
今、山本くん部屋から出ていっちゃった…?
置いていかないで、怖い、1人にしないで、許して、


ぐるぐると回る思考の中、私は意識を手放した。

5.謝罪→←4.怒り



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ゆめ(プロフ) - 初コメ失礼します!お話凄く面白いです!悪女の名前が『さし美』なのが個人的にツボです笑応援してます!頑張ってください! (2020年4月26日 23時) (レス) id: 62ce7395c2 (このIDを非表示/違反報告)
颯羅(プロフ) - この作品の続きみたいです!頑張ってください、応援してます! (2020年4月10日 21時) (レス) id: c3466fa469 (このIDを非表示/違反報告)
鮭大根(プロフ) - 好き。続き読みたいです!!! (2020年4月10日 15時) (レス) id: c882518901 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 初コメ失礼します。個人的にはすごくピュアピュアな2人のこれからを見たいと思うので、付き合ってからの話をみたいなと思います! (2020年4月10日 15時) (レス) id: 25580d8a5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Karen | 作成日時:2020年3月29日 21時

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